病院脱走!! 6 (和) ページ39
和Side
智「かず、あのさぁ・・・」
わかってる・・・・
智にぃが何を言おうとしてるのか・・・・
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和「やだよ・・・・・・」
あんな苦しいことするの、いやだ・・・・
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ベッドで寝ている俺ができる精いっぱいの抵抗。
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それでも、
どんなに顔を背けても、智にぃの手によって元に戻されてしまう。
俺が力を入れると、
優しく顔を包み込んでいた智にぃの手にも力が入る。
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俺の些細な抵抗は、もう意味をなさなくなってしまった。
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“お願い、許して・・・”って、智にぃの目に訴えても、
つらそうな顔しながら“頑張ろうね”って言われるだけ。
どうやったらやらずに済むのか、
どうやったらこの状況から逃げられるのか・・・
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そう考えを巡らせていると、智にぃの姿が見えないことに気付いた。
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きっと吸引の準備しに行ったんだ・・・・
智にぃはたぶん、看護師さんをたくさん連れて戻ってくる。
そうしたら俺はもう体中押さえこまれて、
身動き一つとれずに恐怖の処置を受けることになるんだ。
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そんなのイヤだよ・・・・
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どうしよう・・・・どうしよう・・・・
.
若干パニックになる俺。
そして気付いた時には、俺は病院を抜け出していた。
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体を起こすのすら辛かったくせに・・・
トイレに行くだけでも息切らせてたくせに・・・
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それなのに走って外に出てきてしまったせいで、
胸が苦しくて苦しくて、
俺はしばらく物陰に隠れたまま動けなくなってしまっていた。
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和「ﾊｧ・・ﾊｧ・・ﾊｧ・・・ｯﾝｧ・・ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ!!・・ﾊｧ・・ﾊｧ・・」
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息を吸えば吸うほど頭がボーっとしてくる。
こんなことしてもし悪化してしまったら・・・
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たかが肺炎でも、命にかかわることだってあるんだ。
わかってる・・・わかってるけど・・・・
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ごめん、智にぃ。
きっと今頃心配してるよね・・・
でも俺は、あの病室に戻ることはできない。
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これから、どうしよう。
ずっとここにいるわけにはいかないよね。
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俺は痛む胸を押さえながら、あてもなくトボトボと歩き出した。
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
