風邪ひき潤くん 11 ページ32
翔Side
“寂しかっただけなんだ”
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ほんとは甘えたかったんだよ、潤は・・・
って、相変わらずのオーラを放ちつつ、
ニコッと微笑みながらそうつぶやいた智にぃ。
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どうしてこの人は、こんなにも人の心にスッと入り込めるのだろうか・・・
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智にぃの腕の中ですっかり落ち着いた潤は、
智にぃに温かいタオルで顔を拭いてもらって気持ちよさそうな顔をしている。
嵐が去った・・・俺らとしても、そんな気分だ。
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智「よ〜し、サッパリしたねぇ〜
さあ、そろそろ寝ようか。疲れちゃったね。」
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目がとろ〜んとしてきた潤を寝かせる体制に入った智にぃ。
ゆっくり胸のところをトントンし始めたと思ったら、
すぐにその手が止まった。
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どうやら潤が智にぃの服の端をぎゅっと引っ張ったようだ。
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“なぁに?”って耳を近づけながら、潤の言葉を聞き取っている智にぃ。
うんうんって頷きながらニコッと微笑むと、
そのまま潤の布団の中に入っていった。
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和「えっ、智にぃ・・・・」
そんな和の声に、人差し指を立てて、しぃーっとした智にぃは、
ぴったりと張り付いてきた潤の背中を撫でながら耳元で何か口ずさみ始めた。
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俺らにも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな歌声。
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覚えてる・・・・・
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俺らが小さかった頃、夜寝られないと必ず母が聞かせてくれた子守歌。
母の美声はしっかりと智にぃにも受け継がれていて、
優しく、温かい歌声はあっという間に潤を夢の世界へと導いていった。
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数分後、潤の布団をそっとかけ直した智にぃは
俺らにオッケーマークを作りながら“任務完了”と笑っていた。
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智「大変だったねぇ〜
翔も和も、お疲れ様。」
翔「助かったよ、智にぃ。
俺らだけじゃどうなっていたことか。」
智「今日はだいぶご機嫌ななめだったからねぇ。
もしかしたら明日もこんな感じかな?(笑)」
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明日もこんなだったら、さすがにまいっちゃうよ。
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苦笑いしている俺らとは対照的に、
穏やかな笑顔で潤の寝顔をみつめている智にぃ。
きっと智にぃは、いくら泣かれても、暴れられても、
それを苦だとは思わないんだろう。
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そりゃ俺だって看病が嫌なわけじゃないけど・・・
それでも智にぃの心の寛容さは別格だ。
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こんなにも明確に、目標とする人が目の前にいる・・・
そんな俺は、ものすごい幸せ者なんだろうな。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
