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重たい肩を回しながら、アリスの口から思わず大きなため息が零れた。
休憩が取れないのも食事がとれないのも、労働環境としては良くない。定時に帰れるよう業務調整とシステムの見直しは、早急の課題だと頭を抱えた。

(11時かぁ…流石にルイは仕事に出ているか―――)

疲れがピークを迎えた体を玄関にねじ込むと、荷物と、反対側の腕が前方に引かれる。

「?!!」

大きく傾いた身体を立て直す前に、胸板がアリスの視界を塞いだ。

「お疲れ、アリス―――」
「―――ルイ?」

顔を上げたそこには、この部屋の主であり、恋人でもあるルイシー・ミハイロフの姿が。

「えっと、ルイ…お仕事は―――……?」
「アリスを抱きしめるのが、僕の一番大切な仕事だろう?」
「―――……ルイ」


困った顔を見せるアリスに、ルイシーは小さなため息を浮かべた。

「そんな顔するな。深夜番組明けだし、午後からしか仕事入れてないから大丈夫だよ。」

(―――そうだった…それなら、良かった)

疲れもあり、思考が回っていない。
彼の予定は確認していたはずなのに。

「ブランチ出来てるけど、先にフロいく?それとも少し寝る?どうせ仮眠取ってないんだろう?」

(どうせ―――と、言われてしまったよ)

彼には、全部お見通しのようだ。
自身も深夜番組の出演明けで疲れているだろうに、こうしてご飯を作って待っていてくれるのは、アリスにとってこれ以上なく有難い。

「ありがとう―――お風呂頂いてからブランチ食べます」
「分かった。あ―――アリス」
「なあに?」

クローゼットの一角にまとめて置いてあるお泊りセットからタオルや着替えを引き出しながら、声の方を振り向くと、ルイシーからのキスが降って来る。

「ん……?!」
「フロで寝るなよ―――?アリス、前科あるんだから。30分しても出てこなかったら、覗きに行くからな」
「あ、はい…。25分で出ます」
「…なにその微妙な時間設定」


―――ご飯食べたら、少し寝る事。午後のモデルの仕事に間に合うように起こしてやるから。

優しく頭を撫でる大きな手と、ゆったりとした音楽の様なその声に、癒される。


君がいるから―――頑張れる。
 こうして夢を、追いかけられるんだ―――

 ありがとう……







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ルイシーさん、お借りいたしました。

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流離いのsecret(プロフ) - kohaku様>>執筆お疲れ様です〜!素敵なお話の三本立て!しかも最後にうちの子〜〜!!!最高ですありがとうございます! (2021年6月30日 22時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流離いのsecret x他3人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年6月30日 16時

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