【実話】祖父が死んだ日

祖父が死んだ日 ページ1

蜂の死骸が出てくる夢を見た。
私は夢占いが好きで、何か記憶に残る特徴的なものを夢で見るたびに夢占いをしていた。

今回の結果は、

『大切な人との別れと、新しい良き出会い』

だった。
これを見て、少しゾッとした。
何か、嫌な感じがした。


夕方になり、部活を終えて学校から帰ってきた。
今日は家に誰もいない。
本当なら、家で私の帰りを待っている母親がいないことに違和感を覚えたものの、買い物にでも言っているのかと思い、特段何かをしたりはしなかった。
だから、こっそりと手を洗う前に、『少しくらい……』と思って、ゲームをしようとしていた。

ログインして、マッチングを待っていたとき、リビングに

『ピンポ〜ン』

という音が鳴り響いた。
お母さんが帰ってきたのか、あるいは宅配便でも来たのかと思い、インターホンの画面を見ると、なんとそこには、深夜まで絶対に帰ってこないはずの父親が立っていた。

慌ててゲームを隠して、家の鍵を開けると、一言、

『残念なお知らせです』

と言われた。
普段はない、重々しい空気に、何かあったのだと確信した。
でも、何かが起こってほしくはないと思った。

しかし、その願いとは裏腹に、

『お母さんの方の祖父が亡くなった』

と告げられた。

一瞬、何を言われたのかわからなかった。
『お母さんの方の』と言われているにもかかわらず、

『え、どっちの?』

と訊き返してしまうくらいに混乱していた。

私が呆然としている中、話は進んでいき、明日飛行機で2時間かけてお母さんの実家まで戻ることになった。

一通り話し終えたのか、お父さんは自室に着替えに行った。

一人になって、初めて涙が出た。
何かを失くしたような気がして、声すら出てこなくて、

『心にポッカリと穴が空いたみたい』

というのは、このような状態なのだと感じた。

沢山泣いていたいけど、お母さんも祖母もエグエグと泣いている中私だけでもしっかりしないと、と思い、顔を洗って涙を無理やり止めた。
それでも、喪服を探していたり、お香典袋を探していたり、出立の準備をしているうちに、また涙が出てきた。
それを必死に止めて、でも、また涙が出てきて……そんなことを繰り返しているうちに夜になった。

そこで、学校に『忌引なのでお休みします』という一報を入れていなかったことに気が付き、慌てて学校や塾に連絡を取った。

返信にはどれも

『お悔やみ申し上げます』

と書いてあり、それがとても悲しかった。

祖父が死んだ日から1日後→

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