やさしさはシタゴコロ【黄】

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亮さんの住んでいる場所がこの辺だということは知ってるけど、住所は知らない。亮さんは相変わらず夢の中だけど、起こすしかない、かな…


亮さんの肩を揺すろうと手を置いたとき、ポケットに入れていたスマホが震えた。肩に置いていた手をそっと離して、ポケットからスマホを取り出す。画面を確認すると、隆ちゃんからの着信。ああ、救世主。さっき、起きてる？ってライン入れたから、気づいて電話してきてくれたんだ。




「もしもし隆ちゃん？ごめんねこんな遅くに…」


隆「んーん、起きとったし大丈夫やで！どないしたん？」


「えっとね、今タクシーなんやけど、亮さんのお家教えて欲しくって、隆ちゃん分かる？」


隆「亮ちゃん家？知っとるけど…A、今亮ちゃんと2人なん？こんな遅くに男と2人て、いくら亮ちゃんでもあかん！なんでもっとはよ連絡してこんの？んもー、心配や！」


「ご、ごめんなさい…後日いくらでもお説教聞かせていただきますぅぅぅ…隆ちゃ、」




肩にあった重みがなくなるのと、耳に当てていたスマホが手から離れていくのは、同時だった。
え？と横を見ると、シートに腰を浅くしてもたれるように座り、先程まで私がしていたように、スマホを耳に当てている亮さん。


私もほろ酔い状態だから、上手く頭の処理が追いつかない。亮さんいつのまに起きたんだろう。スマホは取られるし、隆ちゃんと何か話してるし…まあ起きたなら、ちゃんとお家帰れるよね。そこは一安心。




亮「あ、そこ右で」




亮さんは基本、おん、とか、そうやで？とかの相槌ばっかりだったから、何を話しているのかは全く分からなかった。


聞く耳立てるのは気がひけるけど、自分のスマホを取られているから気を紛らわすこともできない。街灯で明るく照らされる外の景色を見て、気をそらした。


運転手さんに時折道案内をしながら、タクシーが亮さんの家の前に着くまで、隆ちゃんと亮さんの会話は続いた。

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