お部屋でいちゃこら【短編集】 (ページ7)

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『しょ、うた…ちょ、むり///』

側で感じる、章大の吐息とか

大人っぽい、ちょっと伏せ目がちな視線とか

大きくないと思ってたのに、男らしいゴツゴツした手とか

鼻をかすめる、香水の匂いとか

こんなの、知らない

「なんが無理なん？」

『ち、近いっ///』

「そお？近いの無理なん？」

『むりっ///もうもやもやない！なくなった！！！///』

近いのが耐えられなくて、距離を取ろうと章大の肩を押すけど、全く動かない。ほっぺにある手を離そうとしても、全然動かない。

気づいたら、もやもやはどっかに行ってて、もやもやの代わりに、心臓がうるさいくらいどきどきと高鳴っていた。

「はー…ここまで長かったわ…」

『章大一回離して！心臓痛いっ///』

「やだ。離したらん。

…ちゃんと、気づいてぇや」

章大の笑った顔も、怒った顔も、
泣いた顔も、困った顔も、全部知ってる。

だけど、切なそうな、こんな顔は、知らない。

いつもよりちょっと低い声も、知らない。

章大が、ただの幼馴染じゃなくて、

ちゃんと男の子だったことに、気づいた。

『もっ分かった///気づいたっ』

「ほんまに？」

『ほんまに！ほんまに！///』

気づいてしまえば、さらに心臓がうるさくなって、胸の奥がキュッと痛くなった。必死に訴える私に、章大もやっとほっぺに添えてた手を下ろしてくれた。赤くなった顔と、心臓のどきどきを落ち着かせるようにはーーーーっと大きく息を吐いて、胸に手を当てる。