【d!】くらえ！お前特攻の顔面力ビーム！！

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僕は走った。
走って、走って走って走って、ようやく1人になれる校舎裏にたどり着く。
壁にもたれかかり、しゃがみこむ。

どきどき、どきどき、どきどき

呼吸を整えても、鳴り止まない心臓の音。
何度も何度も頭の中で再生される鈴の音色のような声。

『勝手に決めつけないでくださる？』

無意識にボロボロと涙がこぼれ落ちる。

ああ、ああ、ああ！
なんて幸福！僕は世界で1番の幸せ者や！

長い袖を捲り、左手首についた大量の“アイの印“を見る。
やっと、届いたのだ！僕の彼女への愛が！

｢っは…はは…っ！｣

ぼくを見つめる瞳を思い出し全身が熱くなる。
あの時、たしかに彼女は僕だけを見ていた。
彼女の意識を一瞬でも、ほんの僅かでも僕に向けることが出来た喜び。

｢はぁぁぁ…｣

僕は思わず左手首の傷に頬擦りする。
嫌われてなんかいなかった。モブ達の1人なんかじゃなかった。
自分しか愛さない彼女に、僕は名前を覚えられた！

いつも己の強欲さに嫌気がさしていた。
彼女に見られたい、彼女に話しかけられたい、彼女に触れたい、彼女と繋がりたい、彼女と、彼女と、彼女と

留まることを知らない僕の欲は抑えられず、傷へと変わった。
これは愛だ。
この傷が増える度、僕は彼女を愛したという印。

彼女はきっと、この傷を気持ち悪いと思うだろう。
だから隠す。
傷も、気持ちも。

有象無象の1人で構わないから、彼女の傍にいよう。
記憶に残らなくても、嫌われていても、構わない。そう思おう。
そう、思っていたのに

｢Aちゃん、Aちゃん…っ｣

僕の欲は肥大化していく。
もっと、もっと近くで、僕は、僕は

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