其の少年*壱 ページ13
*
加羅街を訪れ、宿に泊まり翌日。時刻は既に昼だ。
宿屋の主人に甘味屋の場所を聞き、少し重たい足取りで向かった。
すると、甘味屋の椅子に、1人の少年が座っていた。
赤みがかった髪と両目、花札を模した耳飾り、額の痣に、背には大きな木箱。
(…あの痣…そっくり…)
そして、その少年と目が合った。
「貴女がAさんですか?」
少年特有の少し高い声で名前を呼ばれて、ハッとした。
「貴方が竈門炭治郎さん…!?」
「?はい!」
Aはてっきり大人の男性かと身構えていたのであった。
「今は昼ですから、こういった所には人が少ないんです。
座ってください」
促されるまま、Aは少年の向かいに腰を下ろした。
「お初にお目にかかります。私はAと申します。」
「こちらこそ、改めて俺は鬼殺隊の竈門炭治郎と言います。
義勇さんから粗方聞いています。その上で俺の意見を言いますけど、」
そう言うと、竈門君はキッと目付きを変えた。
「正直俺は、貴女のことを理解できません」
「…」
一点の曇りもない眼で、彼は宣言した。
その気持ちは分かる。
だから、現に私は苦しんでいるのだ。
「俺の妹は鬼です。ですが、人を喰いません。襲いもしません。」
竈門君の言葉が容赦なく心に突き刺さる。
(冨岡さん…確かに彼と共通点はあるけど…格差が大きいです…)
「…貴女が愛したという鬼は、…人間を喰いますか」
「…ええ。」
私の前で食べるような真似はしなかったけど、確実に食べてた筈だ。
「だが、貴女は喰われなかった。
正直、他の人間は喰らうくせに人間みたいに誰かを愛する鬼だなんて、意味が分かりません。
それに、詳しくは知りませんが、人間を喰っていると分かっててそれでもその鬼を好きだという貴女のことも、到底理解し得ません。
…けど、そんな現状に苦しんで逃げてきた貴女を、俺は責めません。」
「…竈門君…」
「それに、俺さっき、妹は人に危害を加えないと断言しましたが、それもまだ証明の最中なんです。
万が一にでも妹…禰豆子が人を襲えば、俺は腹を斬る覚悟です。」
竃門君の瞳は、頑として力強かった。齢15・6くらいの少年にとは思えない。
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renkon(プロフ) - 林檎さん» ヒィぃ嬉しい...最後ちょっと雑だったけど伝わって良かった...ありがとうございます!! (2020年7月22日 1時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
renkon(プロフ) - 桃さん» あざす!!!!!!!感想ありがとうございます!! (2020年7月22日 1時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 超 感 動 !! 黒死牟大好きなので最高でした! (2020年1月31日 0時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
桃 - 黒死牟推しです。とにかくキュンキュンしました!大好きな黒死牟にお姫様抱っこされたり、キスされたり…もう、最高!! (2020年1月15日 22時) (レス) id: 7ebd909b21 (このIDを非表示/違反報告)
renkon(プロフ) - 無気力人間Aさん» ほんとですか!?やったー!お相手が鬼ならばBADにするしかあるまい!!と考える人間なのでそう言って頂けて嬉しいです。 (2020年1月14日 23時) (レス) id: 97b1ff29e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:renkon | 作成日時:2019年11月18日 22時