L O V E . ＃ 2

I'm just in love. ページ5

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｢いただきま〜す！｣


｢……………。｣
(いや、落ち着かんわ)



テーブルに置かれた料理を囲んで
メンバー達が手を合わせる。


そして取り皿片手にあの隣人、
ナナの手料理を必死に奪い合うようにして
取り分けている。


その光景がまだ何だか
素直には受け入れらんくて…
俺は、ただぼーっと料理を眺めて座っていた。



｢……………。｣



ちらり、と正面に向き合って座る彼女に
視線を向けてみる。


すると彼女はメンバー達が食べる姿を
優しく見守るように微笑んでいた。


メンバー達が口々に｢美味しい｣と言えば、
照れたように頬を赤くして嬉しそうに笑う。


その表情に不覚にも可愛い…
と、思ってしまったのは秘密にしよう。



｢……はっ！｣
(いや、待て待て、そんなはず無いやろ)


｢壱馬さん｣


｢え？｣



危うく初めて見た彼女の意外な一面に
翻弄される所だった。


慌てて首を振り、
頭の中を整理していた俺に
隣から慎が声をかけてきた。



｢食べないんですか…？｣



きょとんとした表情で不思議そうに
俺がまだ何も口にしていない事を指摘した慎。


そういえば知らない内に
あれだけあった料理がかなり減っている。



｢お前ら、食うの早すぎやろ…｣



思わず溜め息を吐いて不満を顔に出し、
ジロッと軽く睨めば
メンバー達は顔を見合わせ、口を揃えた。



｢｢壱馬(さん)が食べないからでしょ？｣｣


｢……っ、｣
(確かに)



それはそうやけど、
そんなにハモって言うなよ…


言われた台詞が図星で顔を歪めて俯いた。
俺だってお腹空いてるし、
目の前に置かれた料理は未だに良い香り。


素直に手を伸ばせば良いだけなのに、
躊躇ってるのは正面に座る彼女に
また何を言われるか、
それが気になったからだった。



｢……………。｣
(てか何で、俺こんな緊張してんのやろ)



俯いたまま黙り込んだ俺を無視して
再び食事を始めるメンバー達を横目に睨みつつ
ガシガシと頭を掻き乱して溜め息を溢した。
そんな時、



｢はい、これ…｣


｢………へ？｣



俺の皿に料理を取り分けてくれたのは
意外にも彼女だった。


遠慮がちにそっと俺の前に置かれたそれに、
恐る恐る視線を上げれば
彼女はふんわり柔らかく笑って…



｢口に合うか分からないけど…｣


｢食べてみて｣



そう言った後、
すぐに何もなかったかのように
広島焼きを食べながらメンバーと談笑する彼女


たったそれだけの事が
また俺の胸を焦がした___






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