L O V E . ＃ 2

First time. ページ21

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｢ナナさん、スマホ鳴ってますよ？｣


｢あ、本当だ…｣



平日のランチタイムも
あと少しで終わりを告げる頃、
後輩が私の鞄を指差してそう言った。



｢こんな時間に誰だろ…？｣
(LINEなんて珍しい)



普段、平日にLINEなんてあまり来ないのに
一体誰からだろう？
と、不思議に思いながらも
鞄から取り出したスマホを弄る。
すると、



｢……えっ！｣
(嘘でしょ！？)



画面に表示されたLINEの送信相手に
思わず目を見開いて驚いてしまった。


まさか、
本当に連絡がくるなんて思っていなかった。


目の前にいる後輩は
私があまりにも大袈裟に驚いた事を
不思議に思ったのか、



｢誰からですか？｣



なんて、平気な顔で聞いてくるから
私は勢い良くその画面を閉じて
無理やりに平静を装った。



｢何か、ショップのお知らせだった！｣


｢最近多くて困ってるんだよね、あはは…｣
(こんなの後輩には絶対言えないって！)



ぎゅっと、スマホを握る手に力が入る。
あからさまに嘘っぽい言い方になった事に
今更後悔する。


だけど、まさか私のLINE相手が
大ファンの彼だと知ったら
彼女は恐らく発狂するに違いない。


慌てて制服のポケットに
スマホを突っ込こんで隠せば、



｢えー、何か怪しい！｣


｢ショップのお知らせ、とか言って…｣


｢本当は彼氏とかじゃないんですか！？｣



後輩はやけに楽しそうな口調で詮索してくる。
やっぱり不自然すぎたか、と
苦笑いになりながらも



｢そんな訳無いでしょ…｣



と、やんわり否定すれば
彼女はたちまちつまらなそうに口を尖らせて
不満を溢した。



｢てっきり、彼氏かと思ったのに｣


｢なんだ違うのかぁ、残念…｣


｢彼氏いなくて悪かったわね｣



彼女があまりにも残念がるから、
少しだけわざとらしく言い返してみる。


すると彼女はあからさまに
マズいと分かったのか
苦笑いになりながら慌てて訂正した。



｢ちょっ、違いますってば…！｣


｢そんなつもりじゃないんですって！｣


｢はいはい、分かってるよ…｣



私がそう言って
適当にあしらいながら席を立てば、



｢もう、本当に誤解しないでくださいねー！｣



と、慌てて私に続いて後を追う彼女が
あまりに必死すぎて
私は少しだけ笑みを溢した。



｢あはは、ごめんごめん…！｣


｢別に、怒ってないよ｣
(だって、本当に彼氏じゃないし)


｢なら、良いんですけど｣



彼女に向かって振り返り笑いながらそう言えば
後輩は少しだけホッとした表情を浮かべて
肩を落とした。



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