S M I L E : )

Make my move. ページ10

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ナナちゃんとLINEをするようになって
数日が経ち、今日初めてカフェに行く。


まだそこまで親しい関係になった訳でもないし
友人と呼ぶにはどこかよそよそしい。


だけど、以前とは確実に違う関係は
微かに胸の辺りがくすぐったく感じる。



｢こんにちは、いらっしゃいませ！｣


｢あ、どうも…｣



見馴れた店員にそう言われ、
軽く会釈して丸いフレームの眼鏡を
くいっと指で直す振りをして彼女を探す。


なるべく自然に
辺りを見渡すように振る舞いながら
いつもの窓際にゆっくり向かう途中で
ようやく彼女を見つけた。



｢………あ、｣
(ああ、今日もやっぱり可愛い)



客が去った後のテーブルから
空になったグラスをてきぱきと片付け、
布巾で素早くテーブルを拭く
その姿は、やっぱり何時見ても魅力的。


なんて、一人小さく頷いて緩む口元は
首に巻き付けたままのマフラーに埋めて
隠すようにしてゆっくり席につく。
すると、



｢『………あ、』｣



テーブルの片付けを終えたナナちゃんが
トレーに空のグラスを乗せて歩いてくるなり
絡み合った視線に、お互い小さく声を上げた。


照れ臭くてはにかむ俺と、
恥じらいからか咄嗟に乱れた前髪を
指で解かして直す仕草をする彼女。


どこかぎこちない空気を
どうにかしたくて、思わず咳払いを一つ。



「あのさ、注文いい？｣


『あ、は、はい！』



軽く手を上げて、
ナナちゃんを呼び寄せてから
テーブルの上でメニューを広げて
そっと、そこに視線を落とす。


ずらりと並んだ数種類のコーヒーラインナップ
そこには目もくれず、
見ている視線の先はぼやけ気味。


それもそのはず、
俺はこのカフェでホットココア以外
頼んだ試しがない。


ここのお店のホットココアは懐かしい味がする
とにかく、すごく美味しくてハマって
初めて飲んだ時に気に入って以来、
ずっとこれしか飲んでいなかった。



『ご注文は、お決まりですか？』


「えっと、ホ…」







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