S M I L E : )

Stand by you. ページ36

.





｢あー、眠い…｣
(昨日、連絡来たからって浮かれすぎた)



だけど俺は単純だから、
ナナがくれたあのLINE一つで
簡単に復活出来る。


日増しに強くなる想いに蓋をするのは
当たって粉々に砕け散ってからでも
決して、遅くはない。


決めたんだ
後悔だけはしないって___



『あれ、北人さん、早くない？』


「ああ、樹、おはよ…｣


「あのさぁ、俺、今日ちょっと」


「出掛けてくるから皆にも言っといて｣



まるで遠足を待ちわびて
眠れなかった子供のように早起きして
いつもより念入りに髪をセットしたり
服装も気合いを入れた。


準備万端で部屋を出た所で
樹とばったり出会したから
そう告げれば、



『ああ、もしかして…』


『この前、言ってた彼女とデートですか？』



なんて、にやりと悪戯に笑って話す樹。
デートなんてそんな素敵なものじゃないし
ただ、一方的に俺が彼女のバイトするカフェに
通い詰めているだけなんだけど、



｢んー、まぁ、そんな感じかな…｣
(とか言っちゃう俺って見栄っ張りだな)



あえて言葉を濁して曖昧にしながら
にやりと笑い返せば樹は特に疑う事もなく、



『へぇ、上手くいくと良いっすね』



なんて言いながら俺の肩をぽん、と叩いた。
そうして、



『ああ、夜も要らないならまたLINE下さいね』



今日はLIKIYAさんが
特製カレー作るって張り切ってたんで…



と、さりげなく付け加えて
スタスタとキッチンに入って行くから、



｢そっか、分かった｣



と、だけ伝えて
足早に玄関に向かった。


靴を履きながら腕時計で時間を確認、
まだ少し開店までには時間がある。


だけど、どうせ寮に居たって
そわそわして我慢出来なくなるに
決まってるから…



｢適当に時間潰すしかないか…｣



そう誰に向けてか分からない
そんな独り言を呟いてから
鞄を持って寮を出た。





.

Stand by you. 2→←You drive me crazy. 5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す