S M I L E : )

Her ex-boyfriend. ページ18

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個室のある行きつけのお店に案内し、
夕飯を食べながらナナと色んな会話をした。


少しずつながらも、
彼女との距離が近付いたような気がする。


一生懸命自分を知ってもらいたくて
会話を絶やす事なく話続ける俺に
ナナは嫌な顔一つせずに相槌を打っては
熱心に聞いてくれていた。



｢……………。｣
(これって、少しは期待しても良いのかな)



話してみれば、
彼女は今スタイリストになる為の専門学校に
通っているらしい。


もう卒業を間近に控え就職が決まっていて、
空いた時間を利用しながら
カフェのバイトをしているんだと知った。


知らない事ばかりだった彼女の事が
どんどん自分の頭にインプットされていく
この感覚はとても新鮮で、
嬉しくて顔がにやけていくのを
必死に堪えていた。



『わ、もうこんな時間だったんだ…』


「そろそろ帰ろっか、家まで送る｣



話疲れた頃には
すっかり夜も更けていて、
お互いに時計を見ると
顔を見合わせ驚いた。


時間はあっという間に過ぎていくのに、
まだまだ名残惜しい気持ちが募る。


だけど、これ以上俺の我が儘に振り回して
嫌われたら立ち直れないから
仕方なく、そう言って席を立った。



「うわ、さっむ、てか風強っ…！｣


『ねぇ、髪の毛くちゃくちゃ…』


「あー、ちょっと待って」
(確か鞄に…)



手早く会計を済ませて外に出れば
冷えきった夜風が俺達に容赦なく吹き付けて
強風でナナの髪が乱れた。


苦笑いで髪を手で押さえて歩くナナの姿に
ふと鞄に入れっぱなしにしていた
ニット帽の存在を思い出した俺は
急いでそれを取り出してナナに被せた。



「はい、これ｣


「わ、やば、超似合うじゃん、ナナ可愛い」


『え、でも北人さんも寒いって…』


「俺？｣


「俺は平気、だからそれ使って…｣


「てか、ねぇ、名前また元に戻ってるじゃん」


『あ、ごめん、つい…』



自分で仕掛けたとは言え、
俺のニット帽を被るナナの姿は
思わず抱き締めたくなるほど可愛かった。


気を遣って俺に返そうと
ニット帽に手をかけるナナを制止して
再び、ちゃんとニット帽を被せて
頭をぽんぽん、と撫でる。


そうして、一人
満足気に笑ってみせれば…







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