7 Days Wonder ..

#DAY 1. Nice to meet you. 3 ページ4

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｢………。｣
(嫌がらせにしか見えない)



私の正面に陣取ったカップルが
少し前からずっと不快で仕方なかった。
なんて事を言ったら、
今の私から見れば
僻みにしか聞こえないかもしれない。
でも、仕方ない。



｢ああ、もうっ…！！｣


｢一人だからって別に寂しくなんか…！｣



ついカッとなって、独り言を口にした。
それと同時に、
自販機のボタンを押す拳に力が入った。


ドカッ、と乱暴に叩くような形になり
思いの外、辺りに響いてしまった音の大きさに


近くにいた人達は目を丸くして
私をまじまじと眺めていた。



｢……っ、げ｣
(しまった、ついイライラして)



後悔しても今更、事実は消えない。
悪目立ちしてしまった事に恥ずかしくなり
背中を丸め、小さくなりながら
自販機から缶コーヒーを取り出した私は
その場から早足で立ち去ろうとした。
すると、



『あ、ねぇ、ちょっと待って』


「…え？｣



突然、背後から腕を捕まれ
その反動で振り返れば
其処にはサングラスにニット帽を被った
若い男性が立っていた。


目ははっきりとは確認できないけれど、
その端整な鼻筋や、
シャープなフェイスラインだけでも
どこか魅力的で、華があるような
そんな出で立ちの彼。



『………っ、』


「……？｣
(知り合いじゃないし、誰？)



振り向きざま彼と視線が絡むと
何故か彼は一瞬、言葉を詰まらせた。


そんな彼は、じーっと私を眺めて
口を開かないまま
ただ私の腕を掴んで動かないから…



「…あの、何か？｣


『ああ、ごめんね、でも…』


『これ、チケット落としてたから』



あまりにもじっと見つめる
彼の視線に堪えきれなくなって
怪訝な表情で声をかければ
彼はたちまちハッ、とした表情を浮かべた。


そこで我に返ったのか
私の前に少し皺の入った
一枚の航空券を差し出した。






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