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「新たな後悔とその先」 ページ10






27年間生きてきて俺は何度も後悔をしてきた。


幼馴染のこともそうやし、それ以外のことも。

選択を間違えては、決まって誰に愚痴るわけでもなく自分の中で鬱々と後悔する。


そんな俺の人生の中にまた新たな後悔が付け足されたのは、山田Aと社食で初めて話してから三日程経った時やった。





「なあ、大倉この間山田さんの話しとったやん?」


いつものようにいつもの蕎麦屋で昼飯を食べてる時、特に何の話の脈絡もなくヤスは箸を止めてそう訊いてきた。

俺は蕎麦のつゆにワサビを溶かしながら、つい眉間に皺を寄せ、

「したけど。それがどないしたん。」

と不機嫌そうに答える。


俺の中で完全に悪い印象でしかない彼女の話は美味い蕎麦を食べながらしたいもんやない。

もちろん同じ部署やからあれから社内で見かけることはあったけど、その度にあの日の彼女の態度や自分の失態を思い出して胸糞悪くなっていた。


やから、無意識に嫌な顔をしてしまう。


そんな俺の表情を何にも知らないヤスは特に気にもせず、


「あれなぁ、事実無根やった。」


少し口を尖らせて俺を見た。



俺は更に眉間に皺を寄せ、箸で持ち上げたばかりの蕎麦をもう一度ざるの上に置く。


「…どういうこと?」


「山田さん、パワハラになるような叱り方、してへんかったって。」


「……え?」


「僕もな、この間大倉に山田さんの話聞いてから、ちょっとひっかかっててん。

僕のイメージでは山田さんて確かに真面目やし厳しいけど他人を責めたりするタイプの人とちゃうかったから。」


動きを止めた俺とは違って、ヤスは箸に手をつけ蕎麦を持ち上げつゆにつけると、一息にずずっとそれをすすった。


「したらな、昨日帰り際に斎藤さんに飯誘われて。ほら、斎藤さん、今山田さんと同じ取引先担当しとるやん?

気になるついでに大倉がしてくれた話、斎藤さんにもしてみてん。」


斎藤さん、は営業部の先輩でヤスの教育係やった人や。

俺は蕎麦を食べることを忘れ、ヤスの話の続きを待った。

俺もアホやないから既になんとなく話の最後まで見えてたし、嫌な予感は充分、してる。



「そしたら、それは一般職のその子の虚言やって。」



ヤスが言い終わる前に俺はもう、その場に突っ伏したくなった。



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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです!こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年8月7日 18時

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