。 ページ5
。
――山田A。
彼女の印象ははっきり言って『馬鹿真面目で取っつきにくい苦手なタイプ』やった。
年度始め、うちの会社は大きい会社やから人の移動がたくさんあって、毎年必ず着任式が開かれる。そこで、入社式ぶりに彼女に会った。
二十人程おる同期の中の一人で、話したことは多分、ない。
同じ営業やからもちろんオフィスで何度も顔は見かけるけれど、なんせ営業の人数も多いから同じ取引やタスクを担当しない限りは話す機会なんてなかった。
一般職の子達は髪色が明るい子も多いけど俺らと同じ総合職の彼女は入社当時からずっと黒髪。
混ざりけのない黒髪を後ろで低くまとめてて、いつも姿勢がいい。
あと、飲み会の時にハメを外したり誰かと朗らかに話しているのをあんまり見たことがない。一匹狼ってやつ。
そういう印象から俺は勝手に山田さんのことを『馬鹿真面目で取っつきにくい』と思い込み、苦手視までしてる。
きっと仕事もできる人やから、さっきみたいなミスが許せへんかったんやと思う。
彼女の気持ちも分からなくはない。
うちの会社が一般職の女の子達を外見で選んでるのは有名な話で、事務職で顔だけかわいくても仕事ができへん子は多い。
さっきの二人もその類やし。
せやけど、仕事辞めた方がええ、はなぁ。
さすがに言い過ぎやろ。
俺はテラスの柵に寄りかかり、煙草を咥えながら眩しい空を見上げる。
『んー、それはちょっと言い過ぎやね。
次から気をつければいいよ。やってもうたことは気に留めなあかんけど、多分、山田さんも少しカッとなってもうたんやと思うし。あんまり落ち込まんと。』
さっきの二人にはそんな当たり障りのないことを言ってその場を逃れたわけやけど、
どっちの肩を持っても面倒くさいことになる。
こういう時、ヤスなら男らしく正義の視点からどちらかに何かを諭したりするんやろうけど、
生憎俺にそんな気力はない。
こういうところもヘタレの一部やって分かってるし、あかんなぁとは思うけど、今更どうこうしようとも思わへん。
恋でもしたら、変われるんかなぁ。
そんな気色悪いことを頭の中で呟いてしまって思わず肺に煙を溜めたまま、噎せてしまった。
。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
