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俺も珍しく強情になって、彼女の腕を掴んで自分の肩に回させると一息に持ち上げた。
「ちょっと、」
突然の俺の行動に彼女は驚いた顔をして俺を見る。
「痛いんやろ。なんで無理すんねん。」
「…別に無理なんかしてないって。」
「上に言うてくるから、大人しくここに座っとき。病院連れてく。」
山田さんに肩を貸すようにして来客用のスペースまで連れてきて、椅子に座らせると、腑に落ちなそうな反抗的な顔で俺を見上げてくるから、
それが幼い少女のように見えて、俺は少し可笑しくなってしまう。
エレベーターでもう一度上を目指しながら、
誰かのことで頑固になったん、いつぶりやっけ。と考える。
山田さんは、いつも、話す度に俺が普段はそうそうに起こさへん感情を起こさしてくるような気がする。
彼女にそういう力があるのか。
それとも、彼女に対してだけ俺の感情が暴れているのか。
後者だったとしたら――。
まだ不確かな感情に思いを巡らせ、俺は小さく息を吸い、吐き出した。
。
「どうやった？」
診察室から出てきた彼女は俺が想像してたよりずっと厚い手当をされて帰ってきた。
ギブスに包帯、それと、松葉杖。
「…剥離骨折だって。」
眉毛を下げため息をつく彼女に、「ほなら。病院来て正解やったやろ。」と言いたくもなったけど、それも恩着せがましくて嫌やな、と思って、
「…無理してたらもっと大変なことなってたわ。」
と彼女の鞄を持って立ち上がった。
「家まで送ってく。」
「え、いや、一人で帰れるよ。」
「松葉杖突いてるのに荷物運ばれへんやろ。立ってる者は親でも使えて言うやん。」
「…それちょっと意味違くない？」
「頼れる時には頼っときってこと。」
彼女は申し訳なさそうに眉毛を下げて少し微笑んだ。
ただ人助けをしたい以外の邪な気持ちがゼロやったと言ったら嘘になると思う。
誰が彼女の同じ状況でもこんな風にしたとは思えへんし、
既に俺の目には山田さんが特別な存在として映っているように俺も彼女にとって他の同期や社員とは違う存在になりたかった。
あとは、純粋に彼女のことをもっと、知りたかった。
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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
