二日目(5) ページ9
その後もカラ松さんはベットはよく眠れるか、何か困ってることはないか、などいろいろ質問をしてきた。
心配性な人なのかもしれない。
私を気遣ってくれる姿が弟のあつしと重なり、どこか懐かしい気持ちになる。
そうこうしている内に部屋に辿り着いた。
「ハニーが行ってしまうのは残念だな。
…だがそれもしばしの別れだ。オレ達は運命のレッドストリングで結ばれているからな。」
レッドストリング…
つまり運命の赤い糸って言いたいのかな?
そんなものを結んだ覚えはないけど…
『ふふ…今日はこのへんで失礼します。ではまた。』
「あぁ。……」
病室を後にし、先程のカラ松さんとの会話を思い出す。
"数多ものカラ松ガールを虜にしてきたギルトガイ"
正直、とても失礼だけどカラ松さん…もとい松野さんの顔は俳優さんのように整っている訳ではない。そしてさっきの"何か買ってこよう"という発言から推測するに、カラ松さんは思い込みが激しいのではないか。
加えて最初は冗談かと思ったけど、終始ハニーと呼んでいたことから、私のことを彼女だと思い込んでいる可能性もある。
…なかなかに前途多難な予感だ。
ただ、それと同時にカラ松さんは根が優しく本当はとても良い人なのだと感じた。
まぁ最初会った時はいきなり"さぁ行こう、オレ達の愛の巣へ"なんて言うからびっくりしたけど
…………
……
あれ?なんかおかしくない?
一つの疑問が頭に思い浮かび、歩む足を止めて立ち止まった。
あの時、人格が切り替わったのはトイレだ。
つまり、カラ松さんからしたら、気がつくと自分はトイレにいて、トイレを出たら見知らぬ女が立っていたことになる。
普通は驚いて、あなたは誰ですかって聞くとこなんじゃないか?
いや、でもカラ松さんだって気づいたら知らない場所にいる、なんて日常茶飯事か。
…でもだとしたら何で私に驚かなかった?
もしかしたら100%とまではいかないけど、多少は他の人格と記憶が共有されているのかもしれない。
次から次へと疑問は思い浮かび一応仮説を立ててはみるものの、まだ何か腑に落ちないものがあった。
"ベットはよく眠れるか"
『ベット…』
そうだ、あの言い方だとまるで病院のベットの使い心地はどうだって聞いてるように思える。私がここで寝泊まりしてることは知らないはずなのに。
なんで?どうして知ってるの?
『…っ』
言いようのない恐怖に襲われ、気づくと息が切れていた。その時、
「ハニー」
後ろから声がした
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舞香 - ふふっ怖くていいですね…!続き気になります…頑張ってください応援してます…!←生きる気力のないクズからでした… (4月9日 22時) (レス) @page13 id: 30c4979b7d (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - なり金さん» ありがとうございます。割と伏線をしきつめてるので、読みながらぼんやり考えていただけたら幸いです。 (2020年5月23日 22時) (レス) id: f050346503 (このIDを非表示/違反報告)
なり金(プロフ) - 怖いけど楽しいですね!! (2020年5月23日 17時) (レス) id: c41c7ba354 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 永夢さん» ありがとうございます。ドキドキハラハラな感じを目指してるのでそう言っていただけて嬉しいです! (2020年5月14日 14時) (レス) id: f050346503 (このIDを非表示/違反報告)
永夢(プロフ) - ちょっと見るつもりが、続きが気になってきました! (2020年5月13日 1時) (携帯から) (レス) id: 412e09563c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nori | 作成日時:2020年3月31日 16時