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───頼む、間に合ってくれ。
そんな思いで、俺は周りが慌ただしく動くのを感じながらモニターを睨むように見つめた。
「電波探知装置、用意よし!」
「ES捜索、始め…!」
「現在、イチロクゴーキュー…午後5時まで残り10秒!…9、8、7…」
カウントダウンが始まった。
ぽつりと呟いた蘭の「お願い…」という声。
顔の前で両手を組んで祈る園子。
じっとメインモニターを見つめる子供たち。
「6、5、4、3、2、1……ジャスト!」
静まり返ったCICの中で、小さな電子音だけが規則正しいリズムで鳴っている。
…どうだ───、
「反応は?」
「…捜索範囲内に、反応はありません」
まるで、絶望の縁に立たされたかのようだった。
はっと顔を上げた蘭が詰め寄るようにして「どうして…!!」と叫ぶ。
「もしかしたら、電波を受信する腕時計が既に海の中に沈んでいるのかもしれません…」
「───っ」
きゅう、と喉の奥が締め付けられるような感覚に襲われる。
「Aッ…、やだ、どうして…!」
隣でどさりと座り込んだ蘭が泣きじゃくる声。
…それさえも遠く聞こえた。
「なんで…っ、助けてよ、新一…!!!」
園子や子供たちの泣き声、蘭の言葉、…それら全てが遠のいていくようだった。
目の前が真っ暗になるような。
───信じてるよ、名探偵さん?
脳に直接問いかけるみたいに、昔の記憶が流れた。
·
『っ、…』
“大丈夫”なんてかっこつけちゃって。
…ほんとは、怖いくせに。
…苦しいくせに。
クラクラと揺れる意識の中で、私は肺に残る空気を吐き出す。
こんなことになるんなら、もっと素直になればよかった。もっとそばにいれば良かった。
…ちゃんと、伝えればよかった。
ねぇ新一。
…ごめん、─────だいすき。
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ゆうみん - 頑張って、もう少しだよん、コナン君達助けてくれるよん、次回楽しみにしてます (2019年5月28日 21時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみんさん» ぜひぜひ楽しみにしていただければ光栄です!毎度コメントありがとうございます! (2019年5月28日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - やばいぞ、彼女ちゃん海おちゃたあ、早く助けに行かなくちゃあ、コナン君達はどうなるの楽しみです (2019年5月28日 17時) (レス) id: 031a0bf45d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみん さん» 楽しみにしててください!!!!笑 これからどんどん展開が進みます!!笑 (2019年5月26日 18時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、気になるあ、どうなるの、犯人は、彼女ちゃん達は次回楽しみにしてます (2019年5月26日 17時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
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