□３５． ページ36
さっきよりもさらに威力を増した爆破に、天井が崩れ始めて地面に鉄パイプや機材が落ちてきた。
砂埃が舞うのに紛れて蘭に電話をかけるけれど繋がらない。
「なんで切れるんだ…！」
下を向いたのと同時に頭から血が流れた感触。
繋がらない電話に言葉をぶつけたところで奥から声がした。
「早く逃げな小僧、…お前に恨みはねぇ。爆弾を止めることができるのは11人目のストライカーだけ」
そのうちにも電光掲示板に示される時間は迫っていく。
「だが奴は勝負に敗れ、ここにはいない。…あと2分で復讐も終わる。これで知史の無念も少しは晴れるだろう」
「ふざけんな…！」
頭から流れる血を手の甲で───リストバンドで拭った俺はゆっくりと立ち上がり、彼を睨みつける。
「夢敗れ逃げた挙句、知史くんの死を利用して他人に怒りをぶつけてるだけじゃねぇか！」
「なに！？」
「勝手に自分の限界を決めつけて、夢を諦めちまった臆病者だ！！」
肩の怪我もじくじくと痛み始めて地面へと血が滴り落ちる。
ギリ…と苛立ちを隠せない様子で「このガキ、言わせておけば…」という中岡さんの言葉は遮る。
「───ガキはてめぇの方だっつってんだよ！！」
大声を出せば体に響くけれど、そんなことを気にしている場合では無かった。
いや、気にならなかった、と言った方が正しいかもしれない。
「全てを他人のせいにし、自分の都合の悪いことは全部嘘だと否定しぶち壊そうとする！とんでもねぇわがまま坊主だ！！」
いつしか探偵事務所でAが言ってた。
“知史くんがサッカーを続けたかったのは、それを教えてくれた誰かのおかげなんだろうね”なんて。
「分かんねぇのかよ！あんたが否定してるのは、知史くんが大好きだったサッカーなんだぞ！？あんた、知史くんの思い出までぶち壊そうとしてんだぞ！それがまだ分かんねぇのかよ…！！」
もう一度、さっきと同じように頭から流れる血を拭う。
そうすれば、目を見開いて明らかに動揺するような表情を浮かべた中岡さんが「とも、ふみ…」とぽつりぽつりと零しながら後ずさった。
「何故、お前がそのリストバンドを…！」
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます！！そう言っていただけると嬉しい限りです！！ぜひこれからもよろしくお願いします！ (2019年5月23日 20時) (
レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです！頑張って下さい！ (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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