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「嘘だ…っ!毛利小五郎とサポーター達が人を助けようとしてたなんて、そんなの嘘だ!」
真実を伝えれば、彼は自分に言い聞かせるように嘘だと嘆く。
…嘘じゃない、と告げたって彼は言葉を飲み込もうとはしてくれなかった。
「そんな作り話に騙されっかよ!」
彼が出したのは爆弾のスイッチ。
微かに余裕のなさそうな笑みを浮かべている。
「よせ!そんなことしたって、知史くんが悲しむだけだぞ!」
「悪いが、もう後戻りはできねーんだよ」
「やめろ…っ!!!」
俺の言葉は虚しくも響いただけ。
大きく爆発音が俺の声をかき消し、スタジアムを崩し始めた。
「これで爆弾を止める方法は1つしかなくなった。電光掲示板を見てみな、…今となっちゃ無意味だが、ストライカーへの試練としてこれから1分おきに爆破が繰り返される仕掛けになっている」
中岡さんの背後にある電光掲示板には3分40秒と表示されている。
…つまり、次の爆破は3分を切った時。
く…と歯を食いしばる俺にさらなる嫌な言葉が飛び込んできた。
「──小僧、お前の推理には一つだけ大きな間違いがある」
「まさか、ここじゃないのか…!?」
目を見開いた俺に、さっきまでの動揺を無くした中岡さんが口元に笑みすら浮かべながらも話す。
ここは脅迫状に書かれたスタジアムに含まれていないこと。
あの時点ではこの東都スタジアムには爆弾は仕掛けていなかったこと。
…ここは10番目ではなく“11番目”のスタジアムだってこと。
「じゃあ、10番目のスタジアムは……、国立競技場!?」
頭に浮かんだのは、車の中で不安そうに俺を見つめるAと、今きっと会場にいるであろう蘭と園子の姿だった。
「だから…、だからゲーム終了後35分間は爆弾操作を禁じるって…!あれは国立の爆弾を見つけさせないためだったのか…!」
「そう、国立の爆弾はこの鞄の起爆装置と連動する仕掛けになっている」
彼が目線を向けたのは足元にある鞄だ。
…中には爆弾が詰め込まれている。
「爆発は俺が国立でゴールを決めたゲーム終了4分前、人生の全てを掛けた聖地だからこそ俺の人生の終わりと共に消滅させると決めたんだ!」
そんな中岡さんの言葉の直後、電光掲示板の時間は3分を切り、…また大きな爆発が起こった。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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