■大事な宝物の話�� ページ37
ぐしゃりと歪んでいた視界をゴシゴシと拭った私はろうそくの火を消して立ち上がる。
どれくらいの時間泣いていたのかは分からないけれど、ろうそくはすっかり短くなってしまっていて、線香は微かに残るくらい。
ずず、と軽く鼻をすすった私はリュックを背負い直してくるりと後ろを向く。
『…え』
「…よっ」
そんな私の両親のお墓の前に、仏花を持って立っていたのは小さな少年。
…コナンくん、───っていうか、新一だ。
『新一…』
「……今日だろ？オメーんとこの両親の命日」
こくりと頷く私に、微かに頬を緩めた彼は墓石の前へと歩み寄り線香に手を伸ばした。
·
side change
帽子を脱いだ俺は、彼女の両親の墓石の前でしゃがむと線香に火をつける。
…ふわりと香る線香の匂いになんだか心の奥が切なくなった。
泣いている彼女のことも、今の体では抱きしめてあげられない。頭すらも撫でてあげられない。
俺は震える小さな背中をただ黙って見つめることしかできない不甲斐なさに、悔しさにぐっと握った拳を握りしめているだけだった。
『…ありがと、新一』
「いや、」
そう言ってふにゃりと笑った彼女の瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちるのが見えて、何を言おうとしたのかが全部吹っ飛んだ。
『っ、ごめん。涙は、…もうとっくのとうに枯れてるはずなのにっ、』
「……A」
不慮の事故だった。
彼女と……彼女の両親が乗っていた車と衝突したのはアクセルが壊れて暴走していた旅行バス。
救急車と警察が到着した頃にはもう遅かった。
彼女の両親は…それこそ生きてはいたものの虫の息で、逆に即死じゃなかったことが奇跡と言ってもいいくらい。
そして、もっと奇跡だったのは当時まだ中学生だったAが命に別状が一切なかったこと。
車通りの少ない木々に囲まれた高速道路。
たった1人で全身怪我をしているにも関わらずに人を探し歩いた彼女は、通りかかった車を運転していた女性によって保護され、…その後すぐに警察や救急車が到着した。
『誰も悪くなんか無いのに…！』
聞き覚えのある言葉。
確か、…両親が死んですぐの時にもそんなことを言っていた気がする。
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(名前)ひよ(プロフ) - コメント失礼します。最近占いツクールで主さんの作品を見させてもらっています。質問ですが、うざさ99%の作品でパスワードがかかっていて、作品を見ることができません…。パスワードとはどんなのか教えてくださると嬉しいです！ (2020年11月23日 9時) (
レス) id: 8296576305 (このIDを非表示/違反報告)
す(プロフ) - 遊び人さん» ここだけの話、好きです(小声)隙あらば狙ってます(小声) (2020年8月31日 21時) (レス) id: 3a75016096 (このIDを非表示/違反報告)
遊び人 - 快斗って夢主のこと好きなんですか？？？星が綺麗って言ってたし顔赤くしてたし！！よかったら教えてくださいいぃ！！ (2020年8月31日 20時) (レス) id: 08ebd560d2 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 『一部始終しか見ていない』とありますが、『一部始終』とは最初から最後まで・細々としたところまでという意味なので、文章の意味的に『始終』はいらないと思いますよ。 (2020年1月6日 0時) (レス) id: ac2f5c909d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 蓮花さん» 覚えている人がいてくれたなんてびっくりです…！！超嬉しい！！笑 ありがとうございます！！ (2019年6月24日 7時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぴこ。 x他1人 | 作成日時：2019年5月4日 11時
