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無事に飛行船の上に着地できた私たち。
足を止めた快斗は、中へは行かないでここで様子見することを告げる。
…まあ、宝石は例のリーダーの手に渡っちゃってるからね。納得納得。
「お、そうだ」
ゴソゴソと何かを取り出した快斗が、その何かを新一に渡す。
『…なぁに?』
「次郎吉さんの指紋シールだ」
ドヤ顔でそう吐き捨てる快斗。
…どうやって採取したんだか。
「今回は指紋認証式のガラスケースってのがずばり当たったんだが、…もう用ねーからテメーにやるよ」
腰を下ろした後、快斗はちらりと私たちのことを見てもう一度口を開いた。
「…にしてもオメーらの大事な彼女、気をつけてやった方がいいぜ」
『彼女………蘭のこと?』
「ああ。…あの藤岡って男に両腕を掴まれてさ。すぐ飛び退いたし、咳やくしゃみはしてないから移ってねーとは思うけど」
その言葉にはっとした私は、あの時に掴まれた左手首を見る。
『──っ、』
嫌な予感は的中した。
じんわりと赤くなっている手首を隠すように後ろにやる。
おかしいじゃん、…だってウイルスは飛沫感染だって…。
「A?」
すっかり黙り込んだ私を不審に思ったのか、こちらをじっと見つめる新一。
『あ、いや…』
少しずつ2人と距離を置いて後ろに下がる私に、思い出したように眉をひそめた快斗が「そういえばあの時お前も…」と立ち上がって私の左手を掴む。
私の抵抗なんてものは虚しく、2人の視線は私の手首に。
「お前…っ!!」
「あの時に掴まれたところか」
『ダメ、快斗近づいたら感染しちゃ…』
離れようとする私に、大きくため息をつかれた。
…2人に。
「なんですぐ言わねーんだよ」
『気づかなかったの』
「…はぁ。それは分かったから、オメーは俺についてこい」
『え?』
てっきりキッドとここで待ってろ、って言われるのかと。
新一の言葉に、キッドはニヤリと笑ってさっきの場所に座り直した。
『…大丈夫かな』
この空の上では誰にも聞こえない呟きは、風に流されて消えてしまった。
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(名前)ひよ(プロフ) - コメント失礼します。最近占いツクールで主さんの作品を見させてもらっています。質問ですが、うざさ99%の作品でパスワードがかかっていて、作品を見ることができません…。パスワードとはどんなのか教えてくださると嬉しいです! (2020年11月23日 9時) (レス) id: 8296576305 (このIDを非表示/違反報告)
す(プロフ) - 遊び人さん» ここだけの話、好きです(小声)隙あらば狙ってます(小声) (2020年8月31日 21時) (レス) id: 3a75016096 (このIDを非表示/違反報告)
遊び人 - 快斗って夢主のこと好きなんですか???星が綺麗って言ってたし顔赤くしてたし!!よかったら教えてくださいいぃ!! (2020年8月31日 20時) (レス) id: 08ebd560d2 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 『一部始終しか見ていない』とありますが、『一部始終』とは最初から最後まで・細々としたところまでという意味なので、文章の意味的に『始終』はいらないと思いますよ。 (2020年1月6日 0時) (レス) id: ac2f5c909d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 蓮花さん» 覚えている人がいてくれたなんてびっくりです…!!超嬉しい!!笑 ありがとうございます!! (2019年6月24日 7時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぴこ。 x他1人 | 作成日時:2019年5月4日 11時