【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【天空の難破船】

□１６． ページ17

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私たちが着地したのは砂浜。
快斗にありがとう、と告げた私が次に新一を見た時には服部くんに電話していた。

青くて綺麗な海を見つめていれば、後ろから「A〜」と名前を呼ばれる。



『ヤギだ…ひえっ、怖い怖い…』

「怖くねーって」


近寄っただけなのに、ぐいぐいとこちらへ寄ってくるヤギに思わず尻もちをついてしまう。

びくびくする私に、笑いながら「ほら」と私の頭にぽんと手を置いた快斗。



『うわっ、ぷ…』


ペロペロと顔を舐められてくすぐったい。
私たちがわちゃわちゃしていれば、ふと電話をしている新一の言葉に引っかかったらしい快斗が「3人だ」と口を挟んだ。

ウイルスの感染者の人数らしい。
藤岡さん、ウェイトレスさん、水川さんの3人。


私は今のところは大丈夫なようで、ほっと一息。

気がつけばヤギはどこかへ行ってしまったみたいで、私はキッドのマントの先をくるくるといじりながら新一の電話が終わるのを待った。




『…ヘリだ』


ヘリの飛ぶ音が聞こえ、私は空を見上げる。

「警視庁…」という新一の呟きに色々と納得した。
そりゃあ飛行船で今大変なことになってるってことは警視庁の人も来るよね。

何を思い立ったのか、新一は一方的に服部くんとの通話を切ると今度は違うところに電話をかける。



『…忙しいな、名探偵工藤新一様は』

「んな」


快斗と並んで新一を見ていれば、変声期を取り出して声を変えた。


「目暮警部、工藤です…！今、愛知県の佐久島に居るんですが、飛行船を追って警視庁のヘリが…」


目暮警部の声は聞こえないけど、なんとなく話の流れは分かる。

お願いがある、という新一。


「───僕もそのヘリに乗せて欲しいんです。…この工藤新一を」

『…え』









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「おい、どこに工藤新一がいるんだよ…オメーだろ工藤新一は」


呆れ半分の快斗の声。

…それは私も思いました。
でも新一の考えてることはもう理解してるから。


「だぁから、俺に化けてくれって言ってんだよ！」

「ったく…」

『いいじゃん、なんせ怪盗キッドの正体は工藤新一だっ──…んぐ』


快斗は慌てて私の口を塞ぐと「手を貸すのはいいが、俺の仕事の邪魔すんなよ？」なんて。

不思議そうに瞬きした新一は「そいつは保証できねーけど、なるべく努力するよ！」といたずらっぽく笑った。

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