第三話 ページ4
第一印象は青くの宝石のような瞳とサラサラとした絹のような美しい白髪だった。彼女の瞳は深海の如くキラキラと輝き、ふとした時につくる睫毛の影が彼女の魅力をぐっと引き上げる。そして、その瞳と対照的な真っ白な髪は今にも消えてしまいそうであり、彼女をとても神秘的に魅せた。それらは私を堕とすのには十分であり、自分の脳がぐらりと揺れるのを感じた。困ったな…年甲斐もなく一目惚れだなんて。
｢はじめまして、オールマイト、2年B組担任の風間Aです。ウィンディーとして、ヒーロー活動をしています。よろしくお願いします｣
疾風ヒーローウィンディー。彼女の名は事務所や現場のヒーローからよく聞いていた。突如として現場に現れては、素早い対応、敵逮捕と、彼女の“個性”風の如く事件解決に貢献する。事務所には所属しておらずメディア出演も全くない、プロフィールも最小限しか公開されておらず謎が多い。そんな彼女がまさか雄英にいたなんて、雄英の情報管理力の凄さがが垣間見られる。
｢こちらこそ、よろしく。ウィンディーのことは、よく耳にしているよ。君の事件解決の話をよく聞く。本当に助かっているよありがとう｣
｢いえいえ。そんな、ありがとうございます…｣
彼女への感情が露にならないようにと気にして、少しぎこちなくなってしまったのはもう過ぎてしまったので諦めることにした。女性経験がなかった訳では決してないが、久しぶりの感情についていけず握手を交わす時はとてつもなく緊張した。軽い自己紹介のはずが、彼女との会話はどの人よりも時間の流れが遅くゆっくりに感じた。
長いようで短い時間が終わり、次へと移っていく。ちらりと見た彼女の顔は悩ましそうで、しかし何かを懐かしんでいるような何とも言えない顔をしていた。私は彼女のことを知らない。できれば彼女ともっと話をしてみたい。そうしたら、その気持ちは私に理解できるのだろうか。彼女と話す機会は少ないであろうが、どうにかして彼女との接点をつくるために、勇気をもって彼女と連絡先を交換しようと頭の片隅で決意をする。木は葉を落とし、冷たい風が肌をなでる初冬の話である。
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作者名：霞莎 | 作成日時：2021年1月14日 22時
