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九井 side
九井『死んだら金かけて、
葬式豪華にしてやるよ。』
ただの、その場のノリの話だろ。
なぁ、そうだろ。
そんなつもりで言ってねぇし、
死ぬとかねぇだろ。
消毒液の匂いが嫌いだった。
ここに来る度に、
赤音さんを思い出してしまう。
金があれば、俺はあの人を失わずにいたのに。
金さえあれば。
今となっては、金なんてどうでもよかったはず。
手に入っても、良い気分もしねぇのに。
目の前には、顔に白い布が被さった、
俺たちの、………………きっと、
宝のような存在の彼女。
馬鹿だな、ばかだ、大バカだ。
あの日も、今日も、
俺の命ばっか優先しやがるから。
いつか死ぬとわかっていた。
だけど、
俺とイヌピーが守れば、大丈夫だって、
平気だって、死なせないって。
思ってたのに。
九井｢………………っはは、
お前も、俺の事置いてくのかよ。｣
鳴り響いた銃声と、
目の前のアールグレイより薄い髪色が、
脳裏から離れなかった。
ここに来るまでの間、
イヌピーに抱きかかえられていた彼女は、
もう死んでいた。
今日はやけに寒いから、冷えてるのかとか、
そう、…………………思いたかった、なぁ。
九井｢なぁA、起きろって。
お前は頑丈なのが取り柄なんだろ、なぁ。
…………………頼むから、起きろよ。
俺ら置いてくなよ、ばかA。
っっ金さえありゃ、
何とかできたか、守れたか、なぁ。｣
あなたにとって彼女とは、なんて問いかけを、
街中でされたのを思い出した。
俺も、イヌピーもなんて答えるのが正解か、
わからなかった。
そんな俺たちに文句垂らしながら、
｢友達、でしょうよ！！！
それ以外の答えがあんの！？｣
って、拗ねていたな。
溢れ出る感情も、苦しさも何もかも、
表に出したら負けだ。
負けなんだよ、交渉だの取引だのじゃ。
悟られないように、バレないように。
お前が俺たちの心臓だなんて、
誰も気づかないように。
乾｢ココ、｣
九井｢んー、なんだイヌピー、｣
乾｢………………ココっ、｣
イヌピーとAのためなら、
なんでも出来ると信じていた。
望むことは叶えてやりたかった、なんでも。
でも、できないことなんて沢山ある。
九井｢もう、死んじまうかな、いっそ。｣
君がいなくなった日、
俺たちが死んだ日。
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月兎(プロフ) - あぁもう涙…ほんと最高ですありがとうございます (2023年1月30日 6時) (
レス) @page16 id: 720c1829f9 (このIDを非表示/違反報告)
愚民 - 笑いあり、涙あり。最高すぎます🤦♀️更新楽しみに待ってますｯｯ！ (2022年7月20日 21時) (レス) @page20 id: 59cc64d62b (このIDを非表示/違反報告)
阿恵 - このお話の続きが見られて嬉しいです 更新頑張ってください (2021年9月16日 16時) (レス) id: f862afcdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2021年9月15日 14時
