その女は酷く愚かだった。 ページ9
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IF 世界. 死亡軸
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大寿 side
その女は、酷く愚かだった。
力もなければ、なにもないそんな女だった。
初めて見た時に思ったのは、
虫けらの方が強いと思った。
とんっ、と押すだけで転ぶような、
そんなひ弱な女だった。
そんな女に、手を出したことは1度もなかった。
あいつら2人が怖いとか、
うるさいとかじゃなく、
いつでも、壊せると思っていたから。
目の前で、黒の額縁に入っていたのは、
彼女の笑顔の写真だった。
見たことのない、幼い頃の。
今井Aが死んだらしい。
抗争に巻き込まれて、
あいつら2人を庇って、最後まで笑って。
人が多かった、そんな葬式だと思った。
柚葉も八戒もいて、泣きながら見つめていた。
流石にこーゆー時に特服を身に纏う、
そんな奴らはいない。
なぁ、お前らは、なんで。
大寿｢ご冥福をお祈りします。｣
彼女の家族と関わりはなかった。
けれど、
話には聞いていた。
少し過保護な家族だと話していたけど、
身の回りの奴らは、
彼女には過保護で甘かった。
俺も、そうだった。
騒ぎ声というのか、怒鳴り声。
彼女の兄、があいつら2人に掴みかかっていた。
兄｢なんでっっ、なんでっっっ、｣
悲痛のようなそんな声で、
ただひたすらに、問いかけていたと思う。
そんな姿を見て、
親は泣いていたし、
彼女と仲の宜しかった奴らも、
さらに泣いていたかもしれない。
兄｢なんで、Aが死ななきゃならねぇんだよ。
なんで、っあの子が殺されなきゃいけねぇんだよ。
お前らのことなんて、
1ミリも認めたくなんてなかった。
不良と仲良しだなんて、これっぽっちも。
でも、でもあの子がっ、
幸せそうな笑顔で、いうから、
任せようと思ったのに。
守れてねぇじゃんかっっ、
2人もいんのにっ、救えてねぇじゃんかよ！！！｣
今井Aという、女は酷く愚かだった。
何も無ければ、何もかも手に入れていたのに、
それを自慢することもなければ、
その権利も権力も使わずにいた。
大寿｢……………、
そっちで独りは、寂しいか、A。｣
神に問いかけることが出来たのなら、
俺は何を聞くだろう。
死んだ人の生き返らし方か、
これから誰が死ぬのかとか。
あぁ、お前が寂しくないかどうか、
聞いてやろうか。
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月兎(プロフ) - あぁもう涙…ほんと最高ですありがとうございます (2023年1月30日 6時) (
レス) @page16 id: 720c1829f9 (このIDを非表示/違反報告)
愚民 - 笑いあり、涙あり。最高すぎます🤦♀️更新楽しみに待ってますｯｯ！ (2022年7月20日 21時) (レス) @page20 id: 59cc64d62b (このIDを非表示/違反報告)
阿恵 - このお話の続きが見られて嬉しいです 更新頑張ってください (2021年9月16日 16時) (レス) id: f862afcdc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2021年9月15日 14時
