【閑話】ある観光客の記録 ページ36
ついに侵入した、W国。
最近名を挙げた強国だと言うのにあっさりと侵入できてしまった。
まぁ、噂が先走ったのだろう。
恐らくここは一般棟。
こんなに簡単に侵入出来たんだ。
奥にある幹部棟へ行けばW国の総統、グルッペン・フューラーの首を取るのも容易いこと。
「…で、その時隊長がさ、」
「っ！」
人の気配に近くにあった部屋に飛び込んだ。
ここでバレるわけにはいかない。
咄嗟に入ってしまったがここはどこだろうか。
食器のぶつかる音、匂いからしてどうやら厨房のようだ。
ちらりと覗くと、背の高い男と金髪の女がいた。
「ナターシャさん手伝ってくださいよー」
「あんたが頼まれたんでしょ、ジョゼフ。私今休憩中なの」
どうやら2人だけのようだ。
所詮料理人、簡単にケリがつくだろう。
ナイフを握り直し男が後ろを向いた瞬間、その背中に飛びかかった。
「動くな。幹部棟までの最短距離を教えろ。さもないと首を切る」
「へ…？」
間抜けな声を出す男に、目を見開く女。
男の首にナイフを近付ける。
「……なんだぁ！観光客か！ネズミかと思って包丁投げるとこだった！」
そう言って男は俺の腕を掴むといとも簡単に投げ飛ばした。
硬い床に投げつけられ、背中から変な音がした。
「ぐ…っ！」
すぐに立てずにいると、ゆっくりと女が近付いてきた。
「はぁ、ただのネズミだったら処分して終わりだったのに…。観光客ならギリギリ生かして幹部様のとこに連れていかないといけないじゃない」
「めんどくさい」と呟いた女は、うつ伏せのままの俺の首に足を乗せた。
振りほどかなければ、と思っても起き上がれない。
そのまま女は足に力を入れ踏み込んできた。
「で、おにーさんはどこから、何しに来たの？」
「…っかは」
首を踏まれてるせいで喉がしまる。
「んー？聞こえないなぁ。まさかグルッペン様暗殺にしに来たとか？こんな雑魚がァ？」
「…ぐ、だ、れが、ざ…ぐあっ！」
「ちゃんと喋れよ、ほら」
「ナターシャさん、首絞めちゃったら話せないっすよ」
「別に聞く気もないしいいのよ。ジョゼフ、こいつの荷物は？」
「ナイフだけ」
「見せて」
女は俺のナイフを手に取りマジマジと眺める。
「これはS国の精鋭部隊で使われてる特注品ね。刃に特徴がある。ってことはこいつはＳ国からグルッペン様を狙ってやってきた観光客」
「じゃあ尋問おしまい」と言う女の顔を何とか睨み付けると、恐ろしいほど美しく笑った。
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てんげつ そらら(プロフ) - キャラ設定がしっかりしていておもしろいし、メンバーの性格も掴めていてすらすら読めます！続き待ってます〜！ (2020年4月5日 19時) (
レス) id: 7a34e9cdfd (このIDを非表示/違反報告)
鷄ちゃん - とっても面白いです！オリキャラの設定もしっかりしていて、個人的にはヤンさんが一番好きです！更新頑張ってください！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: d0f1e8ba23 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも[watoさん大好き] - 友達の勧めで来ました！とても面白かったです！ (2020年3月11日 22時) (レス) id: eebe54bd3c (このIDを非表示/違反報告)
きりたん - 大先生よ…(遠い目)面白いです更新頑張ってください！ (2020年3月3日 21時) (レス) id: 3ddebd3c19 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とても面白かったです！話のテンポが良くて読みやすかったし、オリキャラの皆さんもうまく溶け込んでいて、とても素敵な作品でした。特にspくんが本性を現し始めた時は、思わず笑ってしまいました！ww 更新楽しみにしています！ (2020年3月3日 1時) (レス) id: 838f9d2c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らに
| 作成日時：2020年2月17日 11時
