【d!】美味しいご飯の為ならば2

いたずら？3 ページ19

shaside

「お、固まった」
「えー、女の子やし虫苦手やったんちゃいます？」

箱から目を離さず動かないA。
やっちまったかな、でもこれで少しでも距離が縮まればななんてガキみたいなことを思った。

「おーい、A。だいじょぶかぁ？これなぁチーノがなぁ」
「あ、早速罪を擦り付けようとして！」

さすがに嫌われたら困るなと、咄嗟にチーノのせいにしようとした瞬間、Aが顔を上げた。
泣いてたらどうしよと焦ったけど、その顔は…

「ありがとうございます！」
「…へ？」

満面の笑み。

「早速佃煮にしますね！」
「いや、いやいやいやいや！」

何を言い出すんや、この子は！

「それ食べるん！？」
「え、そのために取ってきてくれたんじゃないんですか？」

Aの発言にチーノがドン引きしている。

「イナゴはビタミンも鉄も豊富ですし、食感もエビに似てるんですよ」
「え、え、マジで言うてる？」
「はい」

「夕食、楽しみにしててくださいね！」

といい笑顔で去っていくAを止めることなんて出来なかった。

「……これ、やっちゃいました？」
「いやぁ、あとであいつらに殴られそうやなぁ…」

案の定夕飯に出されたいなごの佃煮を見て、大先生が絶叫の後気絶した。
他の奴らも顔を青くさせていたが、同じ極東出身のひとらんだけは「いなごの佃煮だ。懐かしい」とむしゃむしゃ食べていた。

俺とチーノはトントンに鉄槌をくだされ、二度とAに虫をプレゼントするなと釘をさされた。

「シャオさん！またいなごの佃煮食べたくなったら言ってくださいね！」

だけどAとの距離は縮まったので良しとするか。


(虫食べる人やと思われてるけどな！)

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