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「___…予告したでしょ?"迎えに行く"ッて」
うっとりとした艶やかな笑みで、私の頬を撫でた。
包帯布の感触と彼の手から伝わる低めの体温。
それだけで、謎の恐怖に煽られる。
「あァ、本当に見てすらいなかったのだね。悲しいなァ」
「ッ……!!」
ふふふ、と胡散臭い笑みを浮かべる彼の手には、私の携帯が握られていた。
「か、返してください…ッ!」
「うん、いいよ」
ホッとした私は、携帯を返してもらおうと彼に向って手を伸ばした。
___刹那。伸ばした手には携帯ではなく、骨ばった薄く大きな手が包み込む。
「但し。
語尾に
女遊びが派手だという情報を持っている私からすれば、惚れ惚れするような笑みを向けられたとしても、頷く気には1ミリもならなかった。
「……態々本部に忍び込んできて、言いたい事はそれですか」
「ん?忍び込んでないよ、私」
_____正面から、"堂々と"入ってきたよ
突然、バタバタと慌ててている足音が聞こえた。
「参謀殿ッ!!大変です、ポートマフィアがッ…!?」
執務室に飛び込んできた構成員が……それ以上、口を開く事は無かった。
鳴り響く銃声に、呻き声と共に倒れる構成員。
無表情で銃を構えた太宰に、床に広がっていく血溜まり。その光景を私はただ、目を見開いて見ている事しか出来なかった。
「ありゃ、まだ動けるのが居たのか。詰めが甘いなァ」
「何故…ッ、貴方方とは停戦協定を結んだ筈ですよッ!」
すぐさま起き上がって駆け寄ろうとすれば、後ろから引っ張られ、腕の中に閉じ込められる。
藻掻いて暴れても、その拘束から逃れることが出来なかった。
「やッ…!離してッ、離してよぉッ…!!」
「……いいの?キミが抵抗すれば____」
ニヤリと狡猾な笑みを浮かべた彼は片手で私を抱き込んだまま、もう片方の手で耳元の通信機の電源を入れた。
「もしもし、私だよ。大部屋一つ処分し給え。方法は問わない」
ピッと彼が通信機の電源を切った瞬間、何処からか大きな爆発音と共に、けたたましい連続的な銃声音が響き渡る。
もう、嫌な予感しかしなかった。
「あーあ。キミが否と答えるから、死んじゃった。___キミの後輩も、同僚も」
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雪見だいふく - このシリーズ大好きなので、続編書いて欲しいです!リクもさせていただきたいので、よろしくお願いします! (2021年10月22日 18時) (レス) id: 0b9e52d702 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 続編をお願いします! (2021年10月21日 22時) (レス) @page49 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - すみませんゴーゴリのヤンデレは…… (2021年10月5日 1時) (レス) @page45 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 上手だと思いますよ、棒人間しか書けない私にとっては羨ましいです。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - フョードルの制裁論お願いします (2021年8月22日 7時) (レス) id: 68ec6172c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2021年2月22日 21時