いつも通り。 ページ47
事態は一刻を争う、という事で目の前でボールを使った移動手段を行使させてもらう。
久しぶりの稲妻町は、何も変わっていなくて。
沖縄と違ってまだ少し肌寒さを感じる。
赤い屋根の家。
表札にはAの文字。
私の、家族…。
私の記憶が無いことをお姉ちゃん達は知っている。
でも、その失った記憶の私がエイリア学園のAだと言うことを…皆は知っているのかな。
インターホンを鳴らせば、ぱたぱたと足音が聞こえる。
聞きなれた、お姉ちゃんの声が届く頃には玄関の扉が開かれた。
グレーのカーディガンを肩にかけ、長い髪を肩で緩くまとめたいつものお家スタイルのお姉ちゃんだ。
一瞬、強ばったお姉ちゃん。
やっぱりエイリア学園って事までは知らないのかな、だから、私は…もうこの家には……っ
「Aちゃん…っ！おかえり〜〜っ！！」
「んわっ」
心配なんて、不安なんて吹き飛ばすように抱き着いてきたお姉ちゃん。
騒ぎを聞き付けたお母さんがリビングから包丁を片手に…包丁？！
えっ、ま、まさか…！そんな、バイオレンスな…っ
「Aちゃん〜〜っよかったあ、無事なのね」
「よくない！今無事じゃない！置いてきてっお母さん！包丁！！」
「あらやだ」
気が動転していたらしいお母さん。
お姉ちゃんを宥めながらお父さんもリビングに降りてきてくれて、慣れたようにスリッパを出して私もリビングへ向かう。
「お姉ちゃん、お風呂から洗面器とお湯…あとタオル持ってきてあげなさい」
「あ、うん」
パタパタと、走る音がして、遠くのお風呂で水が流れ出す音が聞こえた。
今から水責めにでもあうんでしょうか。
「時間は大丈夫なの？」
「…実は、結構急いでます」
あ、そうなの？と残念そうなお母さんは冷蔵庫からケーキを出して…え？時間ないって…。
ポットはことこと、とお湯を沸かして。
久しぶりの再会なのにあまりにも、いつも通りで。
「お父さん、お願いしたい事があってね、」
「…まずは足を何とかしなさい」
「お待たせ。Aちゃん、こっちおいで」
ソファの方に洗面器を持っていくお姉ちゃんが優しく微笑む。
思い出して、足を見れば土は付いてるし、スリッパに血も滲んでいる。
ソファへ座れば、お姉ちゃんが優しくお湯で傷口を洗ってくれる。
「大丈夫？染みない？」
「うん、大丈夫…」
キッチンにいるお母さん、テーブルで腕を組んでるお父さん。
きっと、今しかない。
「私が宇宙人だって…知ってましたか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
