裏切り者。 ページ32
「バーンに閉じ込められてたんでしょ?」
「知ってて助けに来なかった癖に」
ふいっと視線を逸らしてサッカーボールへ触れれば、グランはくすくすとおどけたように笑うから。
何が楽しいのやら。
足でボールを蹴りあげて、リフティングすればグランは柱に寄りかかる。
「お父様が私を連れ戻したのは理解した。でも、お父様は私を呼び戻して何がしたいの?」
グランへボールを蹴り付ければ、受け取ったグランは指先でボールを回す。
そのボール、重たいんだよね……?
「Aはどう考える?」
「プロミネンスはジェネシスには選ばれない……そうでしょう」
「それ、バーンに言ったらまた痛め付けられるよ」
茶化したグランからボールが投げ付けられ、受け取ればやっぱりボールは重たくて。
「恐れたんでしょう。私が雷門イレブンとして立ち塞がることを」
「あはっ最高。君一人が雷門に居ようが……叩き潰すだけだ」
背筋が凍るような笑顔、それじゃあ、一体。
「Aは無力でか弱くて、小さくて。言っただろ?俺達のお姫様だって」
「思ってもいない事を言わないでって、言ったでしょ」
黒いボールをグランへ思いっきり蹴り付ければ、一瞬で蹴り返された。
瞬きの間に、ボールは私の頬を掠めて壁に大きな穴を開けた。
「俺達は雷門から君を取り返しただけだよ」
「……馬鹿じゃないの。私が雷門から離れたって誰も気にしないのに」
せっかく治った左頬の傷が、さらに深くなった。
「君はそう感じても彼等はどうかな。ずっと一緒にいた信頼してた人間が宇宙人……エイリア学園だと知ったら?
それは、裏切り者じゃないの?」
突然、目の前が真っ暗になった。
私から離れたのは事実。でも、雷門に私が必要ないのも事実……、でも、でもそれは、私が雷門を裏切った事には……ならないはずなのに。
裏切り者?
足の力が抜けて、座り込めば楽しそうなグランが笑う。
「だってそうだろう?」
君は、プロミネンスのAなんだから。
それは、雷門よりもずっと前からの揺るぎない事実で
君は今、それを思い出したから、自らの意思でエイリア学園に戻った。
耳の奥に、こべり着くようなグランの言葉。
違う。私は、私は…っ!
「だって、お父様が私の帰りを望んでくれた……か、ら……」
「おっと。ちょっといじめすぎちゃったかな。うーん、正直もっと円堂くんに依存してると思ったけど……見当違いだったのかな」
それならあまり効果はないのかも。
20人がお気に入り
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楸 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時:2022年8月14日 14時