ありえない。 ページ20
あ。しまった。口を抑えて目を逸らせば、監督からの視線が痛い。
「どういうこと」
「…そのままの意味です」
滑ってしまった物は仕方ない。監督なら何か知っているかもしれない。
そう思って、あの日の出来事を伝えれば監督は何かをじっと考えて。
「貴方達に何があったか知らないけれど、宇宙人から接触がある貴方を放っては置けないわ。申し訳ないけれど、どんな立場であれはキャラバンを離れることは許可出来ません。話は以上よ」
監督に会話を切り上げられて、キャラバンを追い出されて校舎へとぼとぼと向かった。
やってしまった、迂闊だった。発言を間違えた。
これじゃあ、宇宙人の仲間ですとか、宇宙人と関わりがありまーすって公言しているようなものだ。後悔したってもう遅い。
.
翌日、溜息ながらに皆と一緒にゲレンデを滑る。
皆の動きが一段とよくなったのが目に見てわかる。
「みてみて！風丸くん！トリプルアクセル」
「いやAそれ、スノボでやることか？」
ふざけていると、秋に呼ばれる。グランドへ集合すれば染岡くんと吹雪さんのエースストライカーを掛けた真剣勝負を行うことになっていて。
男の子って大変だ。
白熱した2人の試合中、間を指したかのようにリスが足元をくぐり抜けていく。リスに気付いたのは吹雪さんで一瞬の隙を染岡くんがかっさらって行く。
不意に、空に重たい雲が覆っていく。
あっという間に曇天になればエイリア学園が現れた。
レーゼ…。
監督の指示の元、吹雪さんをDFにして守備を強化して始まった試合。
皆がエイリア学園のスピードに慣れてきたころ、
不思議な事が、起きた。
それは、普通ならありえないことで。
いや、あったらいけないことで。
エイリア学園が、次に誰にパスを繋ぐのか。
パンドラはいつも、パスを出す時の癖があって、治らなくて。
ディアムはいつも、レーゼの難題に答えるいい子で、
ギグは短足だから、転がすと結構面白い子で……よく、リームの髪の毛を梳かして……。
ありえない。
試合が雷門に有利に進む程に、言い表せない焦燥感が胸を押し潰していく。
ありえない。
ジェミニストームが、負ける訳がない。
確固たる言葉になった時、思わず口を覆った。
どうして？どうして、私はそんなふうに思ってしまうの。
これは、誰の記憶？
わたしの、きおく？
染岡くんのゴールが決まる。
どくん、と嫌な音を立てる心臓に、背中を伝う冷や汗。
確かに、雷門の勝利を望んでいるのに……。
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
