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しょっぱい。* ページ11

「すまない…」
「…修也くんが居ない間に、誰かと付き合っちゃうかもしれないよ」

鼻水まで出てきた。一瞬拭くのを躊躇われたけどティッシュを出して鼻に押し当てられた。

「それは、辛いな…」
「じゃあ行かないで」

笑ってくれない。

円堂くんが修也くんを呼ぶ声が響いてくる。

鼻水は見られたくない。鼻をかんで、ティッシュを丸めると修也くんと目が合った。

夕日に照らされた修也くんは、いつの日かの河川敷みたいで。
でも、状況も何もかも違うのに。

涙を拭ってくれた手が、優しく頬に触れて。
視界いっぱいに修也くんが広がって、ほんのり優しく、唇に触れた。

思わず、目を瞑ってしまえば、何も見えない真っ暗で。
でも、ゆっくり触れる鼻先も、唇も。

修也くんが離れれば、指先がゆっくりと私の唇をなぞっていく。


「やっ…」

離れたくない。

そう思って、修也くんの胸に縋りけば、頬を両手で包んでくれて。指先で涙を拭われる。
もう一度、優しく触れ合う唇に、一つだけわかったこと。

ずっと、出会ったあの日から。
変わらないこの気持ちは、修也くんの中でも大きく成長していてくれた。


同じ気持ちで、手を繋いでいてくれたこと。
笑いあっていてくれたこと。微笑んでくれてた。


名前を呼んでいてくれた。



びっくりして止まった涙に、やっと修也くんが笑ってくれた。

「他に出来るのか、」

好きなやつ。と小さく耳元で呟かれた声に腰が抜けてへたり込んでしまった。
天然ですがこの人。たらしですか。悔しい、好きです。


「で、きません…」
「だろうな」

優しく頭を撫でて、背中を向けた修也くんに、追いついた円堂くんが声をかける。


円堂くんの言葉に、お前たちとは戦えない。と辛そうに言った修也くんは再び歩き出して。

立ち止まった。

「……Aのこと、頼む」
「んえ、」

円堂くんを見上げれば、決意に満ちた眼差しで任せろ!と叫ぶ。
待って。任せないで。任されないで。

追いかけようにも、力の入らない腰になんの意味もない。

修也くん、これ、確信犯ですか。


公園から出ていく後ろ姿を見送った私達はただ、重い空気が。

「大丈夫、豪炎寺の事信じて待とうぜ」
「うん…」

差し出された手を取り、ようやく立ち上がる。

「でもなんで、お前の事頼んでくんだ…?」
「私にもわかんない」

歩き出した円堂くんの後ろを着いていきながら、ちょっと、修也くんの唇、乾燥してたな…と唇をなぞった。


「涙でしょっぱかったな…」

睡眠。*→←痛い。*



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設定タグ:イナズマイレブン , イナイレ , 豪炎寺修也   
作品ジャンル:恋愛
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/  
作成日時:2022年8月14日 14時

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