自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ48)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:14,170 hit

神を超える力。ページ48

手も足も出ないまま、硬直が続いていた頃、木野さん達は走って戻ってきて見たもの全てを教えてくれた。

「神のアクア……」

思わず、私は木野さんの頬を優しくぺちんと叩いた。
皆がびっくりして私をみて、木野さんも目をまんまるくして。

「Aさん、何で泣いてるの……？」
「だっ、て…」

ぎゅうう、と木野さんを抱き締めれば自分がどれ程冷たくて、怖くて、震えていたかわかるくらい木野さんは暖かくて優しくて落ち着いてた。

「なんでそんな危ないことするの…あ、きが、無事でよかった…」
「Aさぁぁん！！」
「ぐえ」
「ちょっと、私達も危なかったんだけど？」

音無さんとに後ろから抱きつかれて、挟まった私はくるしい。
雷門さんにも宥められては、みんなに笑顔が綻んだ。木野さんも笑って。

「円堂くん…」

世宇子中を見ていた円堂くんに心配そうに雷門さん。
そんな雷門さんを安心させるように円堂くんは笑顔だった。

「大丈夫！俺はやれる。やらなきゃならない。俺達は世宇子のサッカーが間違ってることを示さなきゃならないんだ」

皆の表情が引き締まる。修也くんを見上げれば、目が合って頷いてくれた。

「よし、いけ！」
「はい！」

響木さんの声に返事をした皆がグランドへ走っていく。
円堂くんは鞄なら別のグローブに変えて、走っていった。

後半戦のホイッスル……。

諦めないで食らいつくけど、それでも試合の流れは前半と変わらなくて。
3点差。

また、皆が倒れ込んでしまって円堂くんが最後に残された。

「残るは君だけだ」

髪の長い人にそういわれた円堂くんは何度も、何度も、ボールを打ち付けられて……。
でも、絶対諦めなくて。

「円堂くん…っ」

その時、何かに恐れた髪の長い人はゴットノウズを……あれが、神の羽ばたきの音……？

「そうか！そういうことか！」

円堂くんは体を捻り、ついに、魔神ザ・バンドを成し遂げた。

「いっけー！！」

円堂くんが止めたそのボールを、鬼道さんが受け取り、フィールドを駆け上がっていく。行く手を阻まれる中、放り投げられても空中で無理な姿勢からパスを繋いで。

「ファイアトルネード！」
「ツインブースト！」

修也くんと鬼道さんのシュートチェインは強力に思えたゴールを貫いた。

「やったー！」

それから、髪の長い人のゴットノウズを完璧に円堂くんは魔神ザ・バンドで止めて。繋がれたパスは鬼道さんと修也くんへ渡り、シュートチェインであっという間に同点へ追い付いた。