自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ44)

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101点。ページ44

「皆どうしちゃったのよ、負けちゃったみたいな顔して。まだ試合は始まってもいないのよ？」

木野さんの言葉に、壁山くんは相手のシュートが決められないんじゃ……と後ろ向きな言葉を口にした。そんな壁山くんに、みんなに。

「だったら、点を取ればいいでしょ！」
「点を取る……？」

私も思わず首を傾げて木野さんを見た。確かにそうだけれど……。木野さんはいつもみたいに、優しくて明るい笑顔だった。

「10点取られれば11点。100点取られれば101点！そうすれば勝てるじゃない！」

あんまりにもの暴論に肩が震えた。その通りだと思う。音無さんと目があい、木野さんの隣に並ぶ。

「木野さんの言う通りですよ！点を取ればいいんです」
「1点多ければそれでいい」

みんなが、木野さんの言葉を口々に。それは少しずつ伝わって、広がって。染岡くんが鬼道さんの名前を呼べば、勝利を確信したような鬼道さんが「取ってやろうじゃないか101点！」と声を。

皆で気合いを引き締めて、笑いあって。

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決勝戦当日、

修也くんと一緒に夕香ちゃんに会いに来ていた。
登り始めた日を力強い瞳で見つめる修也くん。固く閉じられた夕香ちゃんの手をきゅ、と握った。

お願い、夕香ちゃん。修也くんを応援してて、絶対……絶対みんなで優勝してくるから。

優しく夕香ちゃんの頭を撫でた修也くんと目が合えば、行くか。と一言だけ。

大会会場に着けば、重々しく閉ざされた門に、「閉鎖」の文字。

「誰もいないぞ」

門の隙間から中を覗いても誰もいない。不意に、雷門さんの携帯が鳴って。
決勝戦の大会会場が急遽変わったことの連絡で、どこへ？という円堂くんへ答えるかのように広い空に浮かぶ雲を割いて、大きな、ﾅﾝﾅﾁｮｯﾄﾜｶﾝﾅｲくらい大きな船？建物？がその姿を表した。

「……天」

あの時の答えが、これだった。
文字通りの空だ。

会場へ入れば、空に浮かぶ会場と思えないほど広かった。不意に、円堂くんがどこか遠くを見る。視線を追えば、影山さんが居た。

ぞくり、と背筋が震えた。え……？
思わず、震えた手で修也くんの裾を掴む。修也くんは、怒りに震えてじっと影山さんを見ていた。

今の視線は、何？修也くんの横にいたから感じたんだよね……？

「円堂、話がある」
「え……はい」

響木さんが声をかければ、みんなが影山さんから響木さんへ意識が集中する。それ、なのに。
誰かに……見られているようなそんな嫌な気配がたまらなくあって、蛇に睨まれたように。