自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ43)

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根本的な何か。ページ43

修練場にあったのはよく分からん機械。
魔人ザ・バンド養成マシーンらしい、響木さん達が使ってたんですかこれ……。

響木さんの許可もおりて、円堂くんは台に登った。
このマシーンを使っても習得できるかわからない、それほど難しくて、強力な必殺技……魔人ザ・バンド。

修也くん達がハンドルを回す役目を名乗り出て取っ手を回す。
まわって……ますか？びくりとも動かないそれに円堂くんも不思議そうに。

「かっ……かた……」

消え入りそうな染岡くんの声だけ聞こえた。
40年前のマシーンだから錆び付いているらしく、どうしたものか、と悩む、前に。菅田先生が油を用意してくれてた。

やっと動きだしたコンベア。
響木さんの指示の元、円堂くんは1歩1歩踏み出していく。

何度も足元を掬われ、転んで。何回も何回もそれを繰り返していく。

円堂くんが疲弊するように、ハンドルを回し続けている修也くん達も疲弊してく。

「大丈夫か」
「ああ」

心配した円堂くんが降りてきて、休憩をするか確認すれば1年達が声を上げる。

「だったら俺達が回すでやんス！」
「え？お前ら…」
「先輩達が頑張ってるのに、俺達だけ休んでるなんて出来ないッス！」
「俺達にも手伝わせてください！」

1年生に感動していると、音無さんと木野さんが私達も！と声を上げる。

「ここまで来たら完成させたいもんね」
「みんな……！何やってんだ俺は…！こんな仲間がいたのに魔人ザ・バンドが完成できないからって1人で焦って……俺世界一の大馬鹿者だ！」

悔しそうに拳を握った円堂くん。頼むぜ！皆！絶対完成させてみせるから！と、いつも通りの円堂くんの笑顔が見えた。
木野さんと微笑みあって、いつもの円堂くんに戻とったね、と笑いあった。

それからみんなで何度も交代しあってハンドルを回し続けた。
円堂くんが渡りきるまで、何度も何度も。

そして、ついに、円堂くんはコンベアを渡りきった。
渡り着れば休憩も入れずに次のステップだ、と響木さんへ言われて移動していく。ユニフォームに着替えて、実践形式だ。

響木さんを交えてのイナズマブレイクで、何度も練習をする。

何度も。

何度も。

それでも、魔人ザ・バンドは完成しなくて。

響木さんが、何が欠けている、その欠けている何かはわからないど、と腕を組んで考え込む。根本的な何か。

「やはり魔人ザ・バンドは大介さんにしか出来ない幻の必殺技なのか……」
「じいちゃん……」

突然として空気が重たくなり皆も項垂れしまった。