合宿。 ページ40
荷物をまとめる為に家に一旦戻ることになり、駆け足で家へ帰る。
「え?じゃあ世宇子中のアフロディって人がわざわざ様子見に来たの?」
「ああ」
「そっか…。あ!じゃあ修也くん一旦ここで。また後で」
「遅れるなよ」
「分かってるよ」
いつもとは違い、手前の道の別れ道で手を振りあった。
私の家まで来ると遠回りになるからね。大急ぎで家へ帰り、玄関を開ければお母さんが驚いた顔をしてた。
「今日はちょっと早いのね。最近遅くまで練習してたのに」
「合宿するんだって。だから、ちょっと急いでる」
荷物まとめたらすぐ行くよ、と鞄をリビングへ放り投げて部屋までかけ上がれば、お姉ちゃんの叫び声が聞こえた。
タオルや着替え、下着の一式を詰め込んで、鞄へ抱き枕を突っ込もうとした私の手をお姉ちゃんが必死に止める。
「合宿よね?合宿なのよね?要らないよね??」
「え、ねっ寝れないもん!」
「せめてこっちのクッションにして?ね?」
抱き枕持って歩くの?と言われてる大人しく渡された、まあるい猫さんを受け取る。ちくしょう。
「Aちゃん?豪炎寺くん来てるよー」
「すぐ行くー!」
入り切らなかったクッションを抱えて、鞄を背負う。
靴を履いて玄関を勢い置く飛び出せば、修也くんとバッチリ目が合った。
「……それ持ってくのか」
「抱き枕がよかったんだけど」
日が沈み始めた道を、初めての合宿へのドキドキでいつの間にか修也くんの手を引いて雷門まで走っていく。
門の前に先生が立っていて、クッションを3回くらい見られたけど通して貰えた。
「体育館に荷物置いてこい」
「はーい」
体育館へ行けば、流石1年は既に揃ってた。
少し奥に染岡くん達がいて、まだ木野さんの姿は見えなくて。
「マネージャーも一緒に体育館?」
「流石に教室じゃないか?」
「ちょっと恐怖」
とりあえず、荷物一緒に置かせて。と修也くんが何の気なしに置いた布団の上に一緒に荷物を置いて。
近くにいた音無さんに声をかけに行った。
「音無さん、マネージャーも体育館で寝るんだよね」
「はい。流石に保護者も少ないので別れる訳にも行かないそうなので」
「わかった、じゃあ私修也くんの隣でいいかな」
やった。とるんるんで修也くんに声をかけようとすれば、慌てて引き止められて。
「流石に!流石にだめです!マネージャーはマネージャーで少し離してありますから!」
「あ、そうなの」
ちらりと見れば、4つの布団だけ2人分くらい離れた所に固まってあった。
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作者名:楸 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時:2022年8月3日 21時