自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ20)

今日:54 hit、昨日:4 hit、合計:14,141 hit

指切りげんまん。ページ20

色素の薄い修也くんの髪から夕日のオレンジが優しく差し込む。

「修也くんは初めて会った時から特別」

真っ直ぐ目を見つめれば、目をまんまるくしてから、頬が少しづつ夕日みたいに染まっていく。

「何がどうよかったのか、は多分今ならわかる」
「多分？」

うん、と頷けばふーん。と素っ気なさそうに、それでもしっかりと話を聞いてくれて。

「ただ、何となくなんだけど。修也くんの話す声とか？なんだろ、声の大きさ？トーン？速度？」

なのかな？と聞けば俺に聞かれても、と困ったように笑う。
あ、あと顔。と付け足せば台無しだ、ともっと笑ってくれた。

「私、修也くんの笑った顔すごくいいなあって思うの」
「……ん、」
「でも、夕香ちゃんのこと話す時の辛そうな笑顔は胸がちくってして悲しくなる」

そんな顔してたか…？と不思議そうな修也くんをみて、そうだよ〜と笑い返せばよく見てるんだなと微笑んでくれた。
そりゃ、特別な人…1番好きな人だもの。なんて、今は言葉にしたら辛くなるだけなんだろうな。

「あ、話が脱線しちゃった」
「脱線してたのか」
「うん。えっと、つまりね！初めて会う人や新しい部員さん達に対して過剰に反応したり、無意識的に無視をしてしまったりするの。だから、あの日は修也くんが事前に声をかけてくれてても、一緒には帰れなかったよ」

面倒くさくてごめんね、と笑えば静かに首を振ってそんなことは無い、と優しい眼差しの修也くんにほっと胸を撫で下ろす。

河川敷のグランドへ着けば土手へ腰を下ろし、隣をてしてしと叩いてここへ座れと言わんばかりに指定すれば一緒に腰を下ろしてくれる修也くん。

「1個だけ、私がこれから怒らない提案があるんだけどね」
「聞くだけは聞こうか」
「よ〜く聞いてね？」

ちょいちょい、と手招きしてちっちゃな声で伝えてみる。

「一緒に帰るってことちゃんと約束してくれれば、少しの間は怒らないで待っててあげる」

そう言えば、修也くんは嬉しそうに笑ってから

「それで怒らないなら、何度だって約束する」

小指を差し出せば、指切りげんまんを歌う。

「嘘ついたら〜…夕香ちゃんに報告しーちゃお！」
「ふっ、夕香が知ったら怒りそうだな」

指切った！と笑えば、もういいかなあ、と立ち上がって葉っぱを払い落とせば

「覗き見さんは誰かな〜」

と土手をかけ上がれば、円堂くんと鬼道さん、木野さんと音無さんがいた。

「えっと…仲直りしたか？」
「お陰様で。でも恥ずかしいから隠れないで」