【銀魂】いのちがほしい弐【沖田総悟】 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:10,498 hit

第四十八訓ページ4

日を跨ぎ、翌朝。あの後土方さんに「明日話をしよう」と言われ、床についた。だがあまり眠れずに俺はそのままクマを作った状態で土方さんの自室に赴いた。後から部屋に入ってきたAもクマを作っていて、まだフラフラとしている。

虚ろな目だ。俺は彼女がまた出会った頃の心を閉ざしたAにならないか心配していた。

土方さんの部屋には部屋主である土方さんと、近藤さんが先に胡座をかいて待っていた。二人はどこかそわそわした様子で、今から何を話されるのか少し胸がザワザワする。

「…話、なんだが。ずっと黙っていたことでな…」

近藤さんが非常に言いにくそうに頬をかく。
目線をあちらこちらに向けて、頬をパンと叩く。どうやら決心したようだ。こちらもごくりと生唾を飲む。

「あの後トシが君の御父上にまた質問を続けてね。そこで得た情報と、俺達があの施設の地下で見つけたものを…話そうと思う。嫌だったり、気分が悪くなったりしたらすぐに言ってくれ」
「…」

Aはゆっくり頷く。近藤さんは心配そうに目線を彼女に寄越すが、話を始めた。

「まず、君は人造人間だと言われたね。多分あれは本当だ。俺やトシは地下でとある部屋を見つけた」
「地下って…地下があったんですかィ? 報告にはなかったですが」
「隊士に言えるレベルじゃなかった。アレは…禁忌だったよ、まさしく」

何を見たんでさァ、と勿体ぶらずに話してくれという意味を込めて告げると、二人は顔を見合わせた。
近藤さんが苦々しい表情で口を開いた。

「ホルマリン漬けにされた胎児達だ。おそらく…天海氏が君を完成させる前に作った新人類とやらの成れの果て。標本はおよそ1000個以上保存されていた」

薄暗い部屋の中に所狭しと置かれている標本瓶を想像して、思わず頭を振った。こんな土方さんや近藤さんの顔見たことがない。本当に恐ろしいものを見たと言わんばかりの顔で、俺も怖くなる。

「…私は1000人以上の命の上にたってるのね。いや…貴方達 “旧人類” を滅ぼす定めがあるのだから、実質70億ね」

自嘲気味に笑うAだが、冗談に聞こえない。
というより、天海の言うことが本当ならそうだ。笑えない。
近藤さんがわざとらしく咳をすると、「ところで、変なことを聞くが」とAに尋ねた。

「君はいったい自分を何歳だと自覚している?」
「…?正確な年齢は知らないけど、多分16から18。…それが何か?」

Aが答えると、二人は腕を組んで唸った。