柑橘の香-2

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たしかに光っている





でもそれは、焦りなんかなくて







『帰れるんだな、、、』






根拠なんてないけど確かにそう思った








これが何のためにここに連れてきたのか




私がなにをすればよかったのか




そもそもこの石が関係してるのか




なにもわからないけど





ただ、もう帰っておいで






そう聞こえた気がした






『やっと、帰れるのか』




うまく笑えない、






全然心が晴れてない





あんなに帰りたかったはずなのに








『帰りたくない、、な、、、、』






言ってから気づく




私は帰りたくないんだ




帰るっていうのはみんなとのお別れを示す




次はいつ会えるのか




"次"はいつ訪れるのか




なにもわからない





帰りたいのも本当



家族だって心配、



ずっと休みっぱなしの大学だって心配






でも、、、、





帰りたくないのも本当





神楽ちゃんや新八くん




真選組のバカたちや




個性が豊かすぎるみんなにもう会えなくなる






それに、、、




銀さんにも会えない、、





『好き……なのに、、』






(じわ





視界が滲む





うわ、なに泣いてんの！なに泣いてるの私！






今1人でいることに心から安心する







好きだって気づいたら次は伝えるもんだと思ってた




伝えたら、もしかしたら届くかもしれないって






でも、今は伝えるべきなのかもわからない





伝えることで




もしかしたら、銀さんを縛ってしまうかもしれない





苦しめてしまうかもしれない





そんなんだったらこっちの世界の、、




もっと、ずっと綺麗なお姉さんの方がいい






…想像してもやもやする





『嫌だなあ、、、』







いつのまにかこんなに欲張りになっていたのか





銀さんが他の誰かと一緒にいるところを見るのは嫌だ





他の誰かと笑いあうところを見るのは嫌だ





でも、、





私にそんな権利はない




見ることだって、、、ない、、、




一粒落ちた涙が



お登勢さんからもらった着物を濡らす




(ずずっ




鼻をすすって手で涙をこする





泣いてたって仕方がない





初恋なんてこんなもんだ





つらい経験がまた私を強くするんだ





それっぽい理由を並べて




私は立ち上がる




気づかないフリをすればいい





この気持ちが消えるまでじっと堪えて





消して消して消して




笑ってさよならするんだ








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