【原神】月の命日 (ページ9)

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「そろそろ咲くかな。」

柊朔は膝を抱えて、琉璃百合を見ていた。
そっと手を伸ばし、蕾に触れる。

「……！！」

「光ったぞ！！」

蕾が開き、花を咲かせ…光り輝いた。
三人が興味深そうに覗き込む。

彼女の瞳にはキラキラと輝いた琉璃百合が映った。

しかし。

(……！)

＿＿＿＿グシオン…貴様っ！！良くも……！

＿＿＿＿恨むなら恨めばいい。私はただ、彼女の……

「っう……？！」

「柊朔？！」

「まさか力を少し使いすぎたんじゃ……！」

三人が慌て始める。
柊朔は頭を押さえて、唸る。

「柊朔殿、一応なんでも効く薬を持っている。これを……！？」

鍾離が薬を差し出すと、その手を払った。
薬は地面へと落ちて行った。

柊朔の呼吸は荒く、鍾離を見る目はギラついていた。

ふと我に返った柊朔。

「す、すみません！！」

彼女は深々と頭を下げた。なんなら、土下座をしていた。

(自分はどうしたんだ……？さっきの声は誰？それになんて失礼なことを……。)

彼女の頭の中はぐるぐると、色んな事でいっぱいだった。
そんな彼女に、「頭を上げてくれ」と言う鍾離。

「柊朔殿が大丈夫なら、何よりだ。」

「本当にすみません……。」

「柊朔、何があったんだ？」

「それが私にもなにがなんだか……。誰かの声が急に聞こえた気がして……。」

彼女は琉璃百合を見た。

「琉璃百合は、大地の記憶を花の香りに変えることが出来ると言われている。きっとそれに影響されたんだろう。」

「記憶……。」

辺りの琉璃百合は既に花を咲かせていた。

彼女に流れてきた記憶は何なのか。

この琉璃百合は何を伝えたかったのか。

(琉璃百合は、私の事を…知っているの？)

今年もまた、月の命日がやってくる。

それは…動き始めた歯車の中。