【原神】月の命日 (ページ16)

今日:26 hit、昨日:8 hit、合計:39,662 hit

▷ ページ16

苦しそうに屈んでる彼女の前に立っていたのは、魈だった。

「貴様、なにが目的だ。何故ここへやってきた。」

「貴方は……？」

「とぼけるな！」

柊朔は血を吐いた。
彼の殺気に圧されてしまった。

「あの御方にはこれ以上近づくな。いゃ、二度と近づくな。これは警告だ。」

「あの御方……？」

「帝君だ。」

柊朔は驚いた。
岩王帝君は生きているのか、という疑問が彼女の中でぐるぐると回った。

彼女は下を俯く。

(岩王帝君が生きてるなんて……。というか、これ以上近づくなってことは…既に私は接触をしている。まさか……！)

彼女が答え合わせをしようと顔を上げた時には、既に魈の姿はなかった。

彼女はゆるゆると立ち上がる。

(おそらく…岩王帝君は……)

彼の警告を聞くべきか否か。

彼女の答えは決まっていた。

(どうせ死ぬ身だ。鍾離さんに関わるのはやめておこう。でも、どうしてだろう。なんか、寂しい。別に彼に特別な気持ちなんてないのに。何故か…心の奥が、彼に伝えたいことがある気がするんだ。)

しかし、凄く寂しそうな顔をしていた。

木々の葉が完全に染まったとき。
璃月港はいつも以上に活気に満ちていた。

そう、月送りの日まで一週間をきったのだ。

「お〜い鍾離。」

「ん？どうした？」

「最近、柊朔を見ないんだ。何か知らないか？」

旅人とパイモンは月送りの準備をしている鍾離のところに来ていた。

「あぁ。俺もちょうど彼女を探そうと思ってな。だが、確かに最近姿を見ないな。」

「鍾離も見てないとなると、まさか！家で……。」

「でも私達、柊朔さんの家知らないよね？」

なんとも言えない空気が流れる。

「こういうときは、お前のお得意の聞き込みだ！」

「そうだね。」

「手分けするか。旅人は冒険者協会の方を頼む。」

「分かった。」

彼女達は手分けして柊朔を探したが、彼女の家を知ってるものは一人もいなかった。