恐喝🔎 ページ6
🔎(神の目ストーリーネタバレ注意)
ドゴン、と凄まじい音がして、目の前にいた男が地面に叩きつけられた。
平蔵がやったのだと認識するのは遅くなかったけれど────彼の放つ異様な殺気に戸惑う。
いつもならもっと理性的で、冷静に威圧しそうな場面だったが……誰がどう見ても、ブチ切れ、という状態だった。
平蔵は忌々しげに歯を食い縛って、腰を抜かしている男の方にも近寄っていく。
まずいと思って声をかけようとした頃には、平蔵はもう1人の男も殴り、蹴飛ばし。
2人の意識が飛んでいても、彼は無言で男を冷たく見下ろして、もう一発喰らわせようとしている。
「平蔵……平蔵!! それ以上は過剰防衛だよ、落ち着いて!」
慌てて声を掛け、彼の腕を両手で掴んで食い止める。
そこで漸く正気に戻ったのか、はた、と動きを止めた平蔵がこちらを振り返る。
彼の瞳は、どこか痛ましげで、朧気で。
平蔵の拳に血が伝って、ポタポタと静かに落ちていく。それは返り血ではなく、強く握り締めて爪が刺さり出来た傷からのものだった。
「……あはは、ごめんね。ついカッとなって……怪我は無い?」
「これくらいなんてことないよ。……平蔵こそ、大丈夫?」
その手をそっと取って、拳を開かせる。平蔵は大人しくそれに従ってくれた。手の平には深々とした、血の滲んでいる爪痕が残っていて、小さく震えている。
ハンカチを取り出して、気休め程度の応急処置をしておいた。
「……昔のこと、思い出しちゃって……我を忘れてたみたい。でも、もう大丈夫だよ。ありがとう」
いつもより覇気がない声と表情で、なんだかこちらまで胸が痛む。
昔のこと、を自分は知らない。平蔵がそれを語りたがらないからだ。だけどきっと、先程の光景に、平蔵は過去の何かしらの光景を重ねて、激昂したのだろう。
「……平蔵、腕を広げて」
「? ……こう?」
「そう」
言いながら、ぎゅっと抱き着いた。
平蔵は「おわっ……えっ、ちょ、なに」とあからさまに動揺する。それを無視して、ぎゅうう、と抱き着き続ける。
「ストレスにはハグが一番効くんだよ」
それを聞いた平蔵は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
それから「弱るなぁ、そういうの」と言って、おずおずと平蔵も抱き締め返して、Aの肩に顔を埋める。その頭をぽんぽんと撫でてやった。
「……ありがとう、A」
ぎゅ、と一層強く抱き締められる。
声が僅かに震えていたのは、見逃してあげることにした。
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Re:(プロフ) - うめおにぎりさん» コメントありがとうございます。美味しそうなお名前ですね…🍙 気に入って頂けて光栄です! もそもそとマイペースに更新頑張ります! (2022年7月31日 0時) (レス) @page6 id: 7f1d8b0622 (このIDを非表示/違反報告)
うめおにぎり(プロフ) - すっ......好きです...需要しかない作品をありがとうございます!無理のない程度に更新頑張ってください。応援してます!!! (2022年7月30日 23時) (レス) @page6 id: 970a72fabf (このIDを非表示/違反報告)
Re:(プロフ) - 泡沫さん» コメントありがとうございます。私もこの3人が最推しなんです…! 神とは恐れ多いですがとても嬉しいです、ありがとうございます! ご期待に添えるよう精進します! (2022年7月30日 3時) (レス) id: 7f1d8b0622 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - 3人とも推しなんですよ…しかもその3人の反応をじっくり楽しめるとは…作者様は神様ですか?神様ですね!() これからも応援してます! (2022年7月30日 0時) (レス) id: 5455460e92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Re: | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2022年7月28日 17時