体調不良🍁🔎🍃 ページ1
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「……A、今日は町に寄っていこう」
ぼーっとしながら歩いていれば、不意に手を取られる。それから額に左手を当てられたので「ああ、バレてたか」と苦笑した。万葉が「思ったより熱いでござるな……」と渋い表情をするので反射的に謝ると、彼はふっと微笑んだ。
「具合が悪い時は素直に言って良いんでござるよ。悪化して共に旅を続けられなくなったら、それこそ一大事でござるからな」
と、優しく頭をぽんぽんされる。
旅を中断してしまうのが申し訳なくて黙っていたことは、きっと朝の内には既に見抜かれていたのだろう。
限界まで自分から言うのを待っていてくれるのが、なんとも万葉らしい。
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「……気付かれないよう頑張ってるみたいだから黙ってたけど、僕の目はそう簡単に欺けないよ。これ以上は連れて行けない」
犯人逮捕までもう目前、というところで、平蔵が急にこちらを振り返ってそう言い放った。
「あとは僕だけでも処理できるから、君は先に帰って」と、肩を掴んで回れ右させられる。
拒否しようとすれば、彼は「だーめ!」と一層強く肩を押し返す。
「僕だって君と最後までやり遂げたいけど、いざってときに君が倒れたりしたら元も子もないだろ?」
わかった? と念を押されてしまうと、頷くしかなくて。足でまといになってしまったことが申し訳なくて落ち込んでしまうと、平蔵が冷たい手で頬を触ってきて、それが心地好くて目を細める。
「君がいなかったらここまで辿り着けなかった。……無理させてごめんね。大丈夫、すぐに犯人をとっ捕まえて、君のところに戻るから。大人しく待ってるんだよ」
「わかった」と返せば、「よし、いい子だね」と甘い声とともに頬にキスをされた。
……熱が上がったのは言うまでもない。
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「……凡人の身体は軟弱すぎる」
呆れたように聞こえるけど、彼なりに心配しているのだろう。魈は濡らしたタオルを絞って、不器用にそれを額に乗せてくれる。降魔大聖に看病をさせているのが申し訳なくて謝ったら、魈はあからさまに眉を顰めた。
「悪いと思うのなら早く治せ。お前がそうしているのを見るのは、なんだか落ち着かない」
そう言いながら、見知らぬ草花を枕元に添えられる。訊けば風邪に効く薬草らしい。「採ってきてくれたの?」と言えば、ふん、と顔を逸らして薬草を奪い取られる。
没収されるのかと思ったけど、どうやら彼が自ら煎じてくれるらしい。
なんだかんだ言って優しいんだから。
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Re:(プロフ) - うめおにぎりさん» コメントありがとうございます。美味しそうなお名前ですね…🍙 気に入って頂けて光栄です! もそもそとマイペースに更新頑張ります! (2022年7月31日 0時) (レス) @page6 id: 7f1d8b0622 (このIDを非表示/違反報告)
うめおにぎり(プロフ) - すっ......好きです...需要しかない作品をありがとうございます!無理のない程度に更新頑張ってください。応援してます!!! (2022年7月30日 23時) (レス) @page6 id: 970a72fabf (このIDを非表示/違反報告)
Re:(プロフ) - 泡沫さん» コメントありがとうございます。私もこの3人が最推しなんです…! 神とは恐れ多いですがとても嬉しいです、ありがとうございます! ご期待に添えるよう精進します! (2022年7月30日 3時) (レス) id: 7f1d8b0622 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - 3人とも推しなんですよ…しかもその3人の反応をじっくり楽しめるとは…作者様は神様ですか?神様ですね!() これからも応援してます! (2022年7月30日 0時) (レス) id: 5455460e92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Re: | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2022年7月28日 17時