エリオスの亡霊 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:8,973 hit

幸せな再会ページ13

ディノsaid
「ディノ、久し振りー！」
「うわっ」
胸に飛び込んできた艶やかな黒髪に、ただただ違和感を覚えた。
「あ！あ、れ、まだ混乱してるのかな…」
「あ、大丈夫、しょうがないことだから」
そして俺は3人目の旧友のことを思い出した。

一週間ほどたって、復帰へのリハビリとしてAと能力、武器なしで戦うことになった。
「腕は鈍ってないみたいだねぇ、ま、まだまだだけどー」
「人狼化せずにAにはかてないかー、取り敢えず、技外してくれる…？苦し…」
「ありゃ、こんなにいい腕ひしぎ十字は久し振りでつい…」
「おい、A…まじで吐くぞ…」
「それはやめてー、キース君、体ありがとねー」
そしてAは幽体に戻った。

「アカデミー時代からよく組み手したよねぇ、懐かしいなぁ、三人とも初めは手加減してきたからキース君投げ飛ばしたんだっけ」
「一番体力なかったけど瞬間的な強さがあったもんね」
「こっちはあんとき受け身とれなくてしばらく動けなかったんだぞ、笑うな」
俺達が懐かしむように笑うとキースが睨んできた。

こういったくだらないことならいくらでも思い出せるのに、一番大切なことは思い出せない。

「ディノが来てくれたからウエストも安泰だねぇ、これは最下位脱出いけるんじゃないかなー？」
「俺一人で勝てるわけじゃないからどうだろうねー、でも最近一層荒れてるもんね、ウエスト」
「なんでランクが下がっただけで治安が悪くなるんだろ…」
喧嘩なんてしょっちゅう起こるし、強盗を捕まえることも多いらしい。

「あーあ、ボクも体があったら今頃喧嘩とか止めにいけたのにー」
「お前はただ技かけるだけだろーが」
「止まるでしょー、それで」
ふつーにその光景が思い浮かぶ。見つけた瞬間に絞め技をかける光景が。
「容赦ないよね、誰にでも」
「流石に手加減するよ！？一般人に手を出すなんて、そんなスト君みたいなこと…」
そう言って、あ、とAが口を押さえる、確かフェイス達の同期の子だった。

そんなことを言っているうちにパトロールから二人が帰ってきて、ジュニアは嬉しそうにどんなことがあったのか俺達に話してくる。まぁ
主にAにだけど。

Aはすぐ人と仲良くなる、だから俺は黙っていようと思う、あのことを…

Aが死んだときのことを。