【APH】Feeling ～ series1～ (ページ23)

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Aはみんなが海で遊んでいる様子をただ眺めていた。空は雲１つない晴天。まっさらな青に吸い込まれそうだ。

その空と同じ色の彼女の瞳。そこには何が映っているのだろうか…

彼女の瞳は彼らの姿が反射して映っている。

果たして、その中には同じ光景が映っているのだろうか…

(これは…？)

全然違った。彼女は複数の未来を見ている。それはドイツが提案し、それに同意したイギリスが組み込んだデータなのだが…

“未来予知”

Aにはそんなデータが組み込まれている。彼らの性格、体格、周りの環境を全て把握したうえで使える。それらのデータを元にして、確率を出すのだ。

(2576から359が該当。そこに加えて52+63+32の確率がある。要するに、3569通り以上。彼らの土地、現在の経済状況及び、気候など、全てを合わせて…)

それらを全て全部計算し終えた彼女は呟いた。

「イタリアさんが11時23分19秒に南南西からの波に襲われる確率…96.067435%…」

その時間まで3分を切っている。彼女は望遠能力を使い、遠くの方を見ると、既に波が押し寄せてきていることがわかった。

「助けなければ…」

彼女は海に足を踏み入れた。そして、速く、速くと彼のもとへ泳ごうとする。しかし、機械であるため、まだ水に慣れていなかった。思うように進まない。

「Aちゃんやん。どないしたん？泳ぐん？」

ちょうどそんな時、すぐ近くをスペインが通りかかる。

「スペインさん！お願いです！イタリアさんを助けてください！今すぐここまで連れてきてください！」

スペインはポカーンとする。いきなりそんなことを言われたらそりゃ驚くだろう。別に今イタリアが危険な目に合っているわけではないし…

…─Aの忠告はちゃんと聞くように─…

ふとドイツに言われたことを思い出す。そうだ、Aは全て計算したうえで頼みごとをする設定になっている。これから、イタリアの身に何かが起きるのかもしれない…

「わかったで！親分に任しとき！」

スペインはクロールでイタリアの所まで行き、手を引いて彼らはこちらに戻ってきた。

その様子を見ていた他のメンツも何事かとこちらに向かってきた。

タイムリミットまで…

5,4,3,2,1─…

案の定、イタリアのいた場所にはかなり大きな波が押し寄せた。あれに呑み込まれていたら、きっとイタリアの事だ。溺れていたに違いない。

「良かった─…」