【ヒロアカ】幼馴染みが過保護過ぎてしんどい ３

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質疑応答が始まり、初めの10分程は敵連合のリーダー格、死柄木弔という人物について色々と聞かれたが、僕が知るのはマスコミ騒動の時に目撃した程度でそれ以上の事は何も知らず、大した協力にはならなかった。

だが、死柄木弔が僕に関心を持った事はあの場に居たオールマイトが此処に居るプロヒーロー達に事前に伝えていた様で…

「では、死柄木弔の目的は増方さんの個性で間違い無いと？」

僕が死柄木弔について何も知らないと分かると塚内警部はそう結論付ける様に言うが…僕の当てにならない勘が死柄木弔が僕を狙った理由は個性じゃないと言っている。

だが、じゃあ何が理由なんだ？と言われてしまえば、僕は言葉に詰まってしまうだろう。死柄木弔が僕に感じたものは…プロヒーローが集まるこの場で告げるにはそれなりに勇気がいる事だからだ。

僕はヒーローになんかならない。なろうとも思わない。誰かを助けるのが当たり前な職業なんて、僕にとっては地獄でしかない。

雄英の、それもヒーロー科の生徒でありながら僕はその気持ちを捻じ曲げる気は更々無い。死柄木弔はそんな僕の気持ちを見抜いていたんじゃないだろうか…

「増方少女、君の考えを聞かせてくれないか？」

結論を出す前に僕へと話を振ってきたオールマイトの眼光は本人に威圧するつもりなど無いのだろうが、中々な圧を感じさせる。それだけ事が重大なものだと理解は出来るが……うん、ちょっと…いや、かなり怖いです。

「んー…あの人、なんかよく分からないけど…嬉しそうに僕を見てた気がするんだよなぁ…。あ、勿論個性を使った後だったから、個性が目に止まっただけかも知れないですけど…」

それでも…どう言えば伝わるだろうか。自分で言うには抵抗があるけど、死柄木弔は個性では無くて“僕自身”を見ていた様に思うのだ。

『いいねェ…その容赦の無さ。お前、絶対ヒーローに向いてない』

本質に近い部分を見透かされた様に……あの時の死柄木弔の言葉は的を得ていた。

「んー…もしかして、勧誘…とか？」
「なるほど…確かにその線も考えられなくは無いが、わざわざヒーローを育成する雄英の生徒を勧誘するだろうか…？」

ヒーローを育成する雄英だったからこそ、ヒーローになる事を拒む僕の存在が目に止まりやすかったんじゃないだろうか。

結局、確かな結論が出ないまま死柄木弔についての話はお開きになり、塚内警部は「また何か分かれば報告します」と会議室から出て行ったのだった。

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