114 緑谷side ページ23
帰りのタクシーの中、Aちゃんはずっと眠っていた。お母さんと何を話してたの?何で泣いてたの?そう問い掛けても耳を塞ぐ様に眠ってしまった彼女からは答えを聞けてはいない。
まるで全てを拒絶する様に夢の世界へと旅立った彼女が僕の膝の上で眠っているのに、此処には居ない様な気がして…途端に怖くなる。
「…Aちゃん、起きて」
ねぇ、起きてよ。何処にも行かないで、此処に居て。僕を求めてよ…
彼女の肩を揺すって起こそうとするが、僅かに顔を顰めるだけでAちゃんは目を開けようとはしない。
「お願いだから起きてよ…」
僕の声を拾ってよ。何も言わなくて良いから、ちゃんと傍に居てよ。
「Aちゃん…」
彼女は確かに僕の傍に居るのに…それを望んでいた筈なのに、どうしてこうも…寂しいのだろう。今はただ、不安で押し潰されそうだ。
「っ…」
情けなく零れ落ちた涙はポタポタと彼女の頬を濡らしていく。
好きだよ…本当にAちゃんさえ居れば何も要らないと思える程、僕はAちゃんの事が好きなんだ。誰にも渡したくない、ずっと傍に居てほしい、僕のものになって…僕だけを求めてよ。
「…何で、出久が泣くの…」
いつの間にか目を覚ましていた彼女が寝起きだからか、ぼんやりとした目で虚ろに僕を見る。静かに告げられた言葉に僕は何も言えなくて、ただ縋り付く様に彼女の手を取った。
「出久は…これで幸せなんだよね…僕の選択は間違って無かったんだよね…?なのに、何で泣くの…?」
泣かないで。僕の選択を間違いにしないでよ。そう言葉を紡いだAちゃん。
幸せだよ、Aちゃんが傍に居てくれるから。Aちゃんが僕達を選んだ事は間違いじゃないよ。それがAちゃんの為でもあるんだから。
それなのに…どうして、僕は彼女の言葉に頷けないのだろう。
彼女の言葉に何も言えずに居ると、彼女は再び眠ってしまった。
また一人、僕を残して…
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パル(プロフ) - 月華姫さん» こんにちは!お久し振りです!!漸くリクエストの【轟君が幼馴染みだった?if】が完成しましたので、お知らせします(^^)リクエスト板の方にありますので、またご確認ください!それでは失礼します! (2018年5月6日 13時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - お返事有難う御座います!リクの完成はパル様のペースで大丈夫ですよ!ゆっくり完成を楽しみに待っています!ジジ様はエンデパパの最終進化系なんですね←そう考えると現在のエンデさんは微妙にマシに感じますな←これからもパル様らしく連載頑張って下さい!ではっ (2018年3月7日 10時) (レス) id: 12879f1d64 (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - 月華姫さん» リクエストの方はもう暫くお待ち下さい(><)本編のストックが中々思う様に進まず、リクエストのネタを書き始めてはいるのですが、短編でまとめられず試行錯誤中なので、出来次第お知らせします!更新ゆっくりですが、これからもよろしくお願いします!! (2018年3月7日 7時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
パル(プロフ) - 月華姫さん» お久し振りです!!いつも楽しみにして下さって有難う御座います(><)ジジ様のイメージはホントにエンデパパを悪化させて、兎に角酷くした感じにしようと出来上がったものですww現実だと犯罪レベルがカンストしてしまうかも知れないですねwwwある意味敵(ヴィラン)ですねww (2018年3月7日 7時) (レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
月華姫 - 続き→意味不明な言葉使ってすみません(・・;)さて、轟は次どう夢主と絡み接するか楽しみです!!春の季節も連載頑張ってください!また遊びに来ます♪ではっ (2018年3月6日 21時) (レス) id: 95552be7d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パル | 作成日時:2018年2月10日 17時