【ヒロアカ】20と1の一等星５ (ページ35)

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【２２１】side無しページ35

生徒達からの報告に寄れば、どうやら陽炎は何かから街の住人を避難させている様で、それを阻む生徒達を住人は敵視し、話を聞こうにも応じてもらえないどころか、陽炎と共に応戦の構えを見せているのだという。

何も相澤はオールマイトに戦闘に加勢してほしいと告げている訳では無い。元とは言え、オールマイトは平和の象徴と謳われ、長年社会を支え続けていた人物だ。例え、社会がヒーローに批難的であったとしてもその影響力は未だ衰えてはいないと踏んでの事だった。

「……アナタに損な役回りをさせる」

そう告げる相澤に「構わないさ」と、笑みを浮かべたオールマイトは港へと向かう為、相澤に背を向ける。

「今の私には戦う術は無いにも等しい。それでも過去の栄光が役に立つのなら、その役目、必ず果たしてみせよう」

その過去の栄光があるが故に、オールマイトへと向けられる事になるであろう非難の声は並のヒーローへ向けられるそれとは比べ物にならない。誰もが一度は思っただろう。オールマイトが現役であれば、と。かの英雄が健在であれば、こんな事にならずに済んでいたのではないかと。

「頼みます」

深く、深くオールマイトの背に頭を下げた相澤は気持ちを切り替え、要請に応じたヒーローを引き連れて生徒達の報告にあった、街に残っていた……否、街に置き去りにされている一般人の中毒者達の元へと急行したのだった。

―――所変わって、リゾートホテルの最上階のとある一室で奪われた携帯をキオから取り返そうとあの手この手を尽くしていた彼女はバルコニーで気怠げに煙草を吸すキオを部屋の奥から観察していた。

現在、時間は正午を少し過ぎた頃であり、太陽は真上と言っても問題は無い位置でその熱を惜しげも無く地上へと降り注いでいる。サポートアイテムである高性能の遮熱キャップをカイに奪われたままの彼女はバルコニーは疎か、陽射しが差し込む場所にも近付く事が出来無いで居たのだ。

厳密に言えば、近付く事は出来る。だが、真夏の太陽は容赦無く彼女をオーバーヒートさせる為、昨日の様に丸一日高熱に浮かされ、眠りっぱなしになるという事態を招き兼ねず、それをキオも把握していたのだ。